ニッポニカ・ビオラ弾きのブログ

芥川也寸志メモリアル オーケストラ・ニッポニカのビオラ弾きのブログです

堀辰雄『風立ちぬ』

 映画の封切り前にと『風立ちぬ』の文庫本を買って一気に読んだ。美しい小説だった。堀辰雄(1904-1953)を読むのはおそらく初めて。東大仏文科かと思ったら国文科の出身で、芥川龍之介とも親交があり、その自殺にショックを受けたとのこと。卒論も「芥川龍之介」。『風立ちぬ』は1936年から38年にかけて書かれた作品で、八ヶ岳サナトリウムが舞台になっている。深井史郎『パロディ的な四楽章』(1936)、大澤寿人『ピアノ協奏曲第3番』(1936)、伊福部昭『土俗的三連画』(1937)、山田和男『もう直き春になるだらう』(1938)などの時代。詩人・深尾須磨子(1888-1974)も同時代に多くの詩を書いていた。詩人たちと音楽家たちの豊かな交流の時代に思いを馳せる。