ニッポニカ・ビオラ弾きのブログ

芥川也寸志メモリアル オーケストラ・ニッポニカのビオラ弾きのブログです

両大戦間のパリと、西ベルリン

 清岡卓行の本を読んでいたら、20世紀において最も魅惑的な芸術空間として「二つの世界大戦のあいだのパリ」があげられていた。その間にパリを訪れた日本人と、ヨーロッパの芸術家たちとの交流の例がいろいろ書かれている。私の知らない名前も多いが、「岡鹿之助とモリス・ラヴェル」「藤田嗣治イサドラ・ダンカン」「竹中郁マン・レイ、およびジャン・コクトー」「薩摩治郎八とモリス・ラヴェル」などはいささか気になる組み合わせである。そしてこの時期にパリを訪れた詩人の深尾須磨子は、モイーズにフルートを習っているのが思い出される。
 20世紀において最も魅惑的な芸術空間をあげよと聞かれたら、私はためらわずに「西ベルリン」と答えるだろう。1961年から1989年まで存在した陸の孤島。1974年に訪問した時には、文化が爛熟していた。1993年に再訪した時は、緊張が切れた印象が強かった。石井眞木先生がベルリンに留学したのは1958年。以来東京とベルリンを往復しながら様々な創作活動が展開された。時代と土地の空気と芸術について、いろいろなことを考えさせられる。