第44回演奏会に関するニッポニカのFacebook記事です。
1978年の小倉朗交響作品展
芥川也寸志と新交響楽団が「日本の交響作品展」で1976年度の鳥井音楽賞(現在のサントリー音楽賞)を受賞し、1977年8月にその受賞記念コンサートがあった直後に私は新交響楽団に入団しました。その翌1978年4月に第2回日本の交響作品展として開催されたのが、2夜にわたる「小倉朗交響作品展」で、プログラムは次の通りでした。リハーサルには作曲家も顔を出され、ひょうひょうとしたそのたたずまいは強烈に記憶に残っています。演奏会のチケットをfileしてあったので写真にとりました。
(第1夜)
交響組曲イ短調(1941)
日本民謡による5楽章(1957)
オーケストラのためのブルレスク(1959)
交響曲ト調(1968)
(第2夜)
オーケストラのための舞踊組曲(1953)
ヴァイオリン協奏曲(1971)
弦楽合奏のためのコンポジション(1972)
オーケストラのためのコンポジション嬰へ調(1975)
第44回演奏会の曲目データ
ニッポニカ第44回演奏会は、「ヨーロッパ辺境の音楽・その先に」というタイトルです。ハンガリーの作曲家バルトークの作品と、彼の音楽に影響を受けた小倉朗、そして間宮芳生の作品を演奏します。
3人の作曲家のうち小倉朗はなじみの薄い作曲家だと思いますので、参考文献をたよりにWikipediaの記事を拡充しておきました。戦前には深井史郎、菅原明朗、池内友次郎という師たちからフランス近代の音楽にまず浸り、その後ローゼンシュトックの薫陶を受けてドイツ音楽の伝統にどっぷりつかっていました。そうして得たものから作曲した作品を、戦後まもなくすっぱり破棄してしまいます。その上で見出したバルトークが、小倉の音楽にどのようにはいりこんでいったのか、リハーサルを重ねる中でだんだん輪郭が見えてきています。
バルトークについては人も作品もWikipediaに既に詳しく載っていますが、あとの3曲は詳しい情報がなかったので、記事を出しておきました。参考になさってください。
- 小倉朗:管弦楽のための舞踊組曲(1953) - Wikipedia
- 小倉朗:ヴァイオリン協奏曲(1971) - Wikipedia
- 間宮芳生:オーケストラのための2つのタブロー'65 (1965) - Wikipedia
■参考
姫路で日本の映画音楽コンサート
日本の映画音楽作品から選りすぐった作品のオーケストラ演奏会。主催は姫路市文化国際交流財団。
伊福部昭『シンフォニア・タプカーラ』がドイツで演奏されます
ドイツ南西部の都市マインツで活動しているマインツ交響楽団で、伊福部昭『シンフォニア・タプカーラ』が2月7日と10日に演奏されます。楽譜は東京音楽大学付属図書館ニッポニカ・アーカイブのものが使われます。アーカイヴの楽譜が海を越えて演奏されるのは初めてです。プログラムは次の通りで、「日本」をテーマに企画されています。
Sinfonisches Orchester Mainz e.V.
2024年2月7日(水)Christuskirche Mainz
2月10日(土)Gymnasium Theresianum Mainz
プログラム:
・サン=サーンス:オペラ「黄色い王女」序曲
・プッチーニ:オペラ「蝶々夫人」間奏曲
・ホルスト:日本組曲
・伊福部昭:シンフォニア・タプカーラ
・久石譲:映画音楽「ハウルの動く城」より
演奏:Sinfonisches Orchester Mainz e.V.
指揮:Georg Ziegler
https://www.sinforma.de/
2月18日にはドイツ東部の都市ドレスデンでもタプカーラが演奏されます。こちらもアーカイヴの楽譜が使われます。指揮はカーチュン・ウォン、演奏はドレスデン・フィルハーモニー管弦楽団です。
小倉朗『舞踊組曲』演奏歴
小倉朗作曲『管弦楽のための舞踊組曲』は、これまでに何回か演奏したことがあります。
- 1978年4月26日:日比谷公会堂、芥川也寸志指揮、新交響楽団、「小倉朗交響作品展 第2夜」
- 1987年1月25日:杉並公会堂、芥川也寸志指揮、新交響楽団、「東京第三友の会演奏会」
- 1987年2月1日:サントリーホール、芥川也寸志指揮、新交響楽団、「サントリー音楽賞受賞演奏家シリーズ:芥川也寸志と新交響楽団」
- 2000年7月15日:東京文化会館、飯守泰次郎指揮、新交響楽団、「日本の交響作品シリーズ4・小倉朗没後10年記念」
■参考
2002年までの演奏歴は、2002年5月の「伊福部昭米寿記念演奏会」のプログラム冊子にまとめてあります。2002年から2023年3月までは、2022年7月発行の「芥川也寸志メモリアル オーケストラ・ニッポニカ2002~2023演奏会記録」にあります。
オーケストラ・ニッポニカ第44回演奏会
オーケストラ・ニッポニカ第44回演奏会
《ヨーロッパ辺境の音楽・その先に》
2024年3月31日(日)14時30分開演 紀尾井ホール
- B.バルト―ク:舞踊組曲 (1923)
Béla Bartók(1881-1945): Tanz-Suite in sechs Sätzen für Orchester - 小倉朗:ヴァイオリン協奏曲*(1971)
OGURA Roh(1916-1990): Concerto for violin and orchestra - 小倉朗:管弦楽のための舞踊組曲(1953)
OGURA Roh : Dance suite for orchestra - 間宮芳生:オーケストラのための2つのタブロー'65 (1965)
MAMIYA Michio(1029-): Deux tableaux pour orchestre ‘65
指揮:野平 一郎
ヴァイオリン:高木和弘*
管弦楽:オーケストラ・ニッポニカ
主催:芥川也寸志メモリアル オーケストラ・ニッポニカ
助成:公益財団法人東京都歴史文化財団アーツカウンシル東京[東京芸術文化創造発信助成]、公益財団法人花王芸術・科学財団、公益財団法人野村財団
認定:公益財団法人企業メセナ協議会
アーカイヴ協力:東京音楽大学付属図書館
チケット:全席指定 4,000円、U25席 1,500円
http://www.nipponica.jp/
■参考