ニッポニカ・ビオラ弾きのブログ

芥川也寸志メモリアル オーケストラ・ニッポニカのビオラ弾きのブログです

2017-01-01から1年間の記事一覧

『マドロスの悲哀』の謎解き

伊藤昇作曲『マドロスの悲哀への感覚』は、米窪太刀雄著『マドロスの悲哀』を題材に作曲されています。伊藤昇がとり上げたのは航海中の様々なエピソードであって、船員の待遇の悪さではないことは、既にお知らせしたとおりです。ではどうして「船員の待遇の…

ニッポニカ第32回演奏会プログラム

第32回演奏会のプログラム冊子の内容です。 コラージュ・秋山邦晴 : オーケストラ・ニッポニカ第32回演奏会 オーケストラ・ニッポニカ, 2017.12.17 23p ; 30cm 注記: 演奏会プログラム ; 日時・会場: 2017年12月17日(日)・紀尾井ホール(東京) ; 主催: 芥川…

サティ『パラード』の振付と雑音

サティの『パラード』のスコア(サラベール)の解説には、「振付の合図」と題した一覧表がフランス語と英語でのっています。それを訳して編集したものを載せておきます。(雑音の後のカッコは、スコアの掲載場所です。) Satie”Parade" Choreographic cues(…

ニッポニカ第32回演奏会の紹介動画

第32回演奏会「コラージュ・秋山邦晴」のリハーサル風景と、指揮者野平一郎による各曲の紹介を収録した動画が、ニッポニカのフェイスブックに掲載されました。どうぞご覧ください。https://www.facebook.com/153340144753131/videos/1552343568186108/演奏会…

秋山邦晴『東京オリンピック選手村 食堂のための環境音楽』

秋山邦晴は1963年に四国の自然石サヌカイトに出会い、その音色に魅了されてテープ音楽を作りました。この『城の眼 喫茶店のための音楽 第一』と題された環境音楽は、石の音を素材に作られ、巨大な石のスピーカーから流されました。さらに1964年の東京オリン…

ニッポニカ第32回演奏会:コラージュ・秋山邦晴【改訂版】

第32回演奏会の曲順が変更になり、サティから始まります。会場ロビーでは関係資料の展示も準備しています。プログラム編集も佳境にはいりました。どうぞお早めにご来場ください。 オーケストラ・ニッポニカ第32回演奏会 コラージュ・秋山邦晴 2017年12月17日…

CD『小杉太一郎の純音楽 II』

作曲家小杉太一郎(1927-1976)の純音楽2作品を収録したCDが、Salidaから発売となりました。ニッポニカが演奏に参加したCDの内容は次の通りです。 小杉太一郎の純音楽 II Salida DESL-010 2017.11.30 平成29年度(第72回)文化庁芸術祭参加 曲目: ■交響楽(…

実験工房による『綾の鼓』

三島由紀夫は能の『綾鼓』を題材にした戯曲『綾の鼓』を1951年に作り、これは1952年に初演されました。秋山邦晴らの実験工房では1955年にこの作品を上演しています。音楽は湯浅譲二でした。佐谷画廊の図録には、同時に上演されたシェーンベルクの『月に憑か…

『綾鼓』の変容

能の『綾鼓』は更に多くの文学作品を生んでいます。戦前1922年には能楽研究者・野上豊一郎の妻で作家の野上弥生子が、舞台を古代メソポタミアに移した戯曲『綾の鼓』を書いています。ここで鼓を打つのは老人でなく若い羊飼いです。また戦後1957年には有吉佐…

三島由紀夫『綾の鼓』と山崎正和『世阿弥』

能の『綾鼓(あやのつづみ)』について調べて行くと、このテーマに因んだ文学作品がいろいろ作られていることがわかりました。そのひとつが三島由紀夫の戯曲『綾の鼓』です。舞台を現代に移した作品のあらすじを載せておきます。 また小杉太一郎『綾の太鼓』…

能『綾鼓(あやのつづみ)』

小杉作品リハーサルの会場で「綾の太鼓の綾って何ですか」と聞かれました。綾は綾織の布のことで、要するに皮のかわりに布をはった太鼓で、音がでるわけがないのであります。 ところで「綾の太鼓」の台本の最初には、「狂言方出て、能の「綾の鼓」の「間狂言…

『綾の太鼓』台本

ニッポニカが演奏したCD『小杉太一郎の純音楽II』が、このたびSalidaから発売されることになりました。収録されるのは小杉太一郎(1927-1976)作曲の『交響楽』(1953)と『綾の太鼓』(1963)ですが、録音に際して『綾の太鼓』に関する資料をいろいろと渉猟…

ニッポニカ第32回演奏会関連情報

第32回演奏会に関係する情報をランダムにブログにだしてきましたが、人物ごとに一覧にしました。 ■秋山邦晴関係 追悼・秋山邦晴さん http://d.hatena.ne.jp/nipponica-vla3/20171018/ 秋山邦晴とCIE図書館 http://d.hatena.ne.jp/nipponica-vla3/20171017/ …

早坂文雄『管弦楽のための変容』関連情報

早坂文雄の『管弦楽のための変容』は1953年の作品ですが、初演が延期されたまま埋もれていました。1970年代になって秋山邦晴が発見し、1979年に初演されました。初演に参加したメンバーも何人か今回の舞台に乗ります。 ■タイトルと楽器編成 スコアから抜粋で…

湯浅譲二『ピアノ・コンチェルティーノ』関連情報

■タイトルと楽器編成 スコア(全音、2002)からの抜粋です。 ピアノ・コンチェルティーノ / 湯浅譲二 = Piano concertino / Joji Yuasa Instrumentation 2 Flute (=2 Piccolo) 2 Oboe (2° English Horn) 2 Clarinet (2° Bass Clarinet) 2 Bassoon (2° Double…

伊藤昇『マドロスの悲哀への感覚』関連情報

伊藤作品の楽譜は、東京音楽大学付属図書館ニッポニカ・アーカイヴ・コレクションのものを使用しています。 ■タイトルと楽器編成 スコアから抜粋です。 マドロスの悲哀への感覚 : 米窪太刀雄の作品に拠る / 伊藤昇 La tristesse du matelot : à cause de l'o…