ニッポニカ・ビオラ弾きのブログ

芥川也寸志メモリアル オーケストラ・ニッポニカのビオラ弾きのブログです

作品

小倉朗『舞踊組曲』演奏歴

『小倉朗交響作品展』プログラムと『舞踊組曲』スコア小倉朗作曲『管弦楽のための舞踊組曲』は、これまでに何回か演奏したことがあります。 1978年4月26日:日比谷公会堂、芥川也寸志指揮、新交響楽団、「小倉朗交響作品展 第2夜」 1987年1月25日:杉並公会…

第43回演奏会の曲目データ

オーケストラ・ニッポニカ第43回演奏会ニッポニカ第43回演奏会で演奏する4曲には、それぞれ作曲者の思いを投影する標題がついています。曲名の由来や作曲の経緯など、出典のわかる曲目データをウィキペディアに載せておきました。 池辺晋一郎:悲しみの森 -…

林光『八月の正午に太陽は…』歌詞の解釈

林光『第三交響曲《八月の正午に太陽は…》林光の第三交響曲『八月の正午に太陽は…』という曲名は、中国の現代詩人ペイタオ(北島)の『八月の夢遊病者』という詩にある、「八月の正午に太陽は無く」から採られています。この「八月」は、文化大革命の終結宣…

糀場富美子『未風化の7つの横顔』と『広島レクイエム』

糀場富美子『広島レクイエム』終結部、最下段がアンティークシンバル作曲家糀場富美子についての情報は、音楽事典やCDの解説などわずかなものしかありませんでした。それによると1952年広島生まれで、芸大大学院修了後の1979年、弦楽合奏のための『広島レク…

諸井三郎『交響曲第2番』あれこれ

LP「日本の管弦楽作品1914-1942」1903年生まれの諸井三郎は、山田耕筰の次の世代に当たる作曲家です。10代の頃から作曲を始め、東京帝国大学在学中には室内楽や歌曲を多く作曲し、仲間と結成した楽団スルヤで発表していました。大学卒業後1932年ベルリンに留…

藤家溪子のオペラ『LÀ-BAS OU ICI...』

藤家溪子『LÀ-BAS OU ICI...』藤家溪子は『ギター協奏曲第2番「恋すてふ」』で2000年に2回目の尾高賞を受賞しますが、その後は夫であるギタリスト山下和仁や子どもたちとのコラボレーションを行っていました。それを一段落させた後はオペラ作曲に挑み、2018…

藤家溪子『思いだす ひとびとのしぐさを』

藤家溪子『思いだす ひとびとのしぐさを』CDニッポニカ第41回演奏会で取り上げる藤家溪子作曲『思いだす ひとびとのしぐさを』は、チリの詩人ガブリエラ・ミストラルの「Beber」(ベベール=飲む、という意味のスペイン語)という詩を題材にしています。ミス…

東京音大ニッポニカ・アーカイヴ貸出実績

「東京音楽大学付属図書館ニッポニカ・アーカイヴ」の貸出実績は次の通りです。 公演年月日 作曲者「曲名」 演奏団体+指揮者+共演者(演奏会場) 備考 2014/7/13 伊福部昭「シンフォニア・タプカーラ」 東京フィルハーモニー交響楽団+和田薫(東京オペラシテ…

早坂文雄とピアニスト務川慧悟さん

高橋アキ/早坂文雄:室内のためのピアノ小品集ニッポニカ第40回演奏会が24日に終わりました。いろいろ新たな発見のあったコンサートでしたが、嬉しかったのは早坂文雄『ピアノ協奏曲』のソリスト、務川慧悟さんのアンコールでした。5月27日に務川さんが出演…

「古関裕而物語」

ニッポニカ第40回演奏会でとりあげる古関裕而『大地の反逆』についての情報は少なく、刑部芳則『古関裕而』(中公新書、2019年)では1930年の初演についてわずかにふれていて、そこには「大正12(1923)年9月1日に古関が体験した関東大震災の衝撃から生まれて…

古関裕而『オリンピックマーチ』初演

オリンピック組織委員会とNHKの委嘱で作曲された古関裕而の『オリンピックマーチ』は、1963年6月23日に上野の東京文化会館で初演されました。この演奏会は「オリンピックデー クーベルタン生誕100周年記念」というイベントの一環でした。「オリンピックデー…

古関裕而『オリンピックマーチ』のヴィオラ

古関『オリンピックマーチ』Vla『オリンピックマーチ』の楽譜はスコアからパート譜を作成したのですが、ヴィオラは本来ハ音記号(五線の真ん中がハ=C)のなのに、写真のように所々にト音記号が入っています。スコアは他のパートとの間隔をあまり開けられな…

團伊玖磨『交響曲第4番』のセカンドヴァイオリン

團伊玖磨『交響曲第4番』第2楽章の最後先週から第37回演奏会に向けたリハーサルが再開されました。團伊玖磨『交響曲第4番』を合わせていたところ、第2楽章の終りでセカンドヴァイオリンが一番下のG線を半音低く調弦しているのを発見。ヴァイオリンは上からE-…

古関裕而『オリンピックマーチ』

NHK朝ドラ「エール」NHK朝ドラ「エール」では11月25日の放送で「オリンピックマーチ」が流れました。ドラマの中で、作曲はオリンピックの前年であることがチラっと語られました。ニッポニカで演奏するのはその1963年作曲管弦楽版「オリンピックマーチ」です…

タンスマン作曲ピアノ作品一覧

タンスマン協会サイトに掲載されている、音楽学者Gérald Hugon氏編纂の詳細な作品目録の「ピアノ作品」から作成。オリジナルの一覧はタイトルABC順なので、作曲年順に並べ替え、タイトル日本語訳を追加した。備考欄の★印は管弦楽版がある作品。オリジナルに…

タンスマン『古い様式の組曲』

第35回演奏会では松平頼則『ピアノと管弦楽のための主題と変奏』のソロを弾かれた秋山友貴さんが、アンコールにタンスマンの『古い様式の組曲』から第2曲『サラバンド』を演奏されました。典雅な響きに会場の全員が耳を傾けたものです。 タンスマン協会のサ…

タンスマンの世界演奏旅行

Tansman 「Le Tour du monde en miniature (1933)」1933年に来日したタンスマンは、世界をめぐる演奏旅行の途中でした。全体の旅程を知りたいと思いましたが、資料が見つかりませんでした。ところが今日タンスマン協会サイトの作品目録を眺めていたところ、…

『ニホンザル・スキトオリメ』あれこれ

スキトオリメ‐Violaオペラ『ニホンザル・スキトオリメ』のリハーサルが続いています。台本を何度も繰り返し読んでみると、当初は「核爆発」とか御真影を想起させる「肖像画」などに気をとられていたのですが、だんだんこれは「死と再生」の物語なのだな、と…

池内友次郎『交響的二楽章』

■楽器編成 piccolo, 3 flutes (3rd:pic持替), 2 oboes, cor-anglais, 2 clarinets, bass-clarinet, 2 bassoons, contra-bassoon, 4 horns, 3 trumpets, 3 trombones, tuba, timpani, bass drum, cymbal, triangle, tam-tam, 弦楽5部 ■初演 放送初演: 1951年…

池内友次郎『交響的二楽章』再演の演奏会

池内友次郎『交響的二楽章』はNHK委嘱作品で、1951年11月4日に放送初演されています。その後の演奏歴は不明ですが、2007年に東京藝術大学で再演された記録があります。当日配布のプログラム冊子の概要は次の通りです。 創造の杜'07 藝大現代音楽の夕べ The m…

CD「池内友次郎の音楽とその流派」

1969年に録音され当時LPレコードで出た「池内友次郎の音楽とその流派」が、2001年にキングレコードからCDで再発売されました。それを2011年にタワーレコードが再々発売した3枚組CDが手元にあります。池内友次郎と彼に連なる10人の作曲家、小倉朗、貴島清彦、…

大澤壽人の作品

片山杜秀さん解説の「クラシックの迷宮」、3月最初は大澤寿人の特集でした。『ピアノ協奏曲第3番』は野平一郎のピアノ独奏によりニッポニカで2回も演奏しているのでなじみがありましたが、その後の3曲はどれも大澤の豊かな音楽性を彷彿とさせる作品で、…

ヴェレシュ『交響曲第1番』の演奏会

紀元二千六百年奉祝演奏会で演奏された4曲のうち、ヴェレシュ・シャーンドル(Veress Sándor, 1907-1992)の作品が60年後の2000年に再演されています。日本ハンガリー友好協会主催のハンガリー・フェスティバルの一環として開催された演奏会の、チラシの概…

『マドロスの悲哀』の謎解き

伊藤昇作曲『マドロスの悲哀への感覚』は、米窪太刀雄著『マドロスの悲哀』を題材に作曲されています。伊藤昇がとり上げたのは航海中の様々なエピソードであって、船員の待遇の悪さではないことは、既にお知らせしたとおりです。ではどうして「船員の待遇の…

サティ『パラード』の振付と雑音

サティの『パラード』のスコア(サラベール)の解説には、「振付の合図」と題した一覧表がフランス語と英語でのっています。それを訳して編集したものを載せておきます。(雑音の後のカッコは、スコアの掲載場所です。) Satie”Parade" Choreographic cues(…

秋山邦晴『東京オリンピック選手村 食堂のための環境音楽』

秋山邦晴は1963年に四国の自然石サヌカイトに出会い、その音色に魅了されてテープ音楽を作りました。この『城の眼 喫茶店のための音楽 第一』と題された環境音楽は、石の音を素材に作られ、巨大な石のスピーカーから流されました。さらに1964年の東京オリン…

CD『小杉太一郎の純音楽 II』

作曲家小杉太一郎(1927-1976)の純音楽2作品を収録したCDが、Salidaから発売となりました。ニッポニカが演奏に参加したCDの内容は次の通りです。 小杉太一郎の純音楽 II Salida DESL-010 2017.11.30 平成29年度(第72回)文化庁芸術祭参加 曲目: ■交響楽(…

実験工房による『綾の鼓』

三島由紀夫は能の『綾鼓』を題材にした戯曲『綾の鼓』を1951年に作り、これは1952年に初演されました。秋山邦晴らの実験工房では1955年にこの作品を上演しています。音楽は湯浅譲二でした。佐谷画廊の図録には、同時に上演されたシェーンベルクの『月に憑か…

『綾鼓』の変容

能の『綾鼓』は更に多くの文学作品を生んでいます。戦前1922年には能楽研究者・野上豊一郎の妻で作家の野上弥生子が、舞台を古代メソポタミアに移した戯曲『綾の鼓』を書いています。ここで鼓を打つのは老人でなく若い羊飼いです。また戦後1957年には有吉佐…

三島由紀夫『綾の鼓』と山崎正和『世阿弥』

能の『綾鼓(あやのつづみ)』について調べて行くと、このテーマに因んだ文学作品がいろいろ作られていることがわかりました。そのひとつが三島由紀夫の戯曲『綾の鼓』です。舞台を現代に移した作品のあらすじを載せておきます。 また小杉太一郎『綾の太鼓』…