ニッポニカ・ビオラ弾きのブログ

芥川也寸志メモリアル オーケストラ・ニッポニカのビオラ弾きのブログです

図書館とアーカイブ

 図書館の司書の仕事を長年やっていますが、5年程前から某博物館の中で仕事をするようになりました。また近現代の記録資料(アーカイブ)にも数多く触れる仕事をしています。(「アーカイブ」という言葉は、記録資料そのものを表す場合と、それを保管している施設(多くは文書館)を表す場合があります。)図書館も博物館も文書館も、過去の記録を未来に伝えるものですが、その手法はいろいろ異なる部分があります。
 図書館では数多く出版された資料を集めてきて、分類順に並べラベルを貼って貸し出したりします。資料が痛んできたら新しい物と交換することもあります。しかし博物館や文書館にある資料は、他のものでは代替がきかない唯一のものです。たとえば自筆のスコアはもちろん、出版されたスコアであっても、特定の指揮者がいろいろ書き込みをしたものは世界に一つしかありません。そこで博物館や文書館では資料を分類順ではなく、それがもともとあった順あるいは受入順に並べておくのが基本です。痛んだ資料を新しいものと交換するということはあり得ません。
 このような相違に最初はずいぶん戸惑いましたが、博物館や文書館(アーカイブ)のことをいろいろと学んでいくうちに、その違いを乗り越えて未来へ資料を伝える方策というものがだんだん見えてくるようになりました。(アーカイブについて学んだのは、国文学研究資料館主催のアーカイブズ・カレッジです。)最近ではMLAの連携ということがいろいろな場面で発信されています。MはMuseum=博物館、LはLibrary=図書館、AはArchive=文書館です。異質のものが出会ってぶつかって新しいものを生み出すのは古今東西に数多く例が見られます。連携の実現には膨大なエネルギーが必要ですが、たくさんの人たちが注目し動き始めている所です。
 日本近代音楽館というアーカイブが、明治学院大学図書館という図書館の中へはいることになりましたが、それを支える方たちの果敢な挑戦を、利用者の立場から応援したいと思います。
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