ニッポニカ・ビオラ弾きのブログ

芥川也寸志メモリアル オーケストラ・ニッポニカのビオラ弾きのブログです

日本近代音楽館とアーカイブ

 昨日「日本近代音楽館というアーカイブ」と書きましたが、少々補記します。日本近代音楽館が「図書館」か「アーカイブ(この場合は施設の意味)」か、というのは見方によりまが、作曲家の自筆譜など出版される前の資料は、いわゆる図書館ではあまり扱いません。図書館では「出版されて初めて評価の定まった資料」とみなされることが多いからです。しかし自筆楽譜の重要性は言うまでもありません。そこで近代音楽館は「自筆楽譜などのアーカイブ(この場合は資料の意味)を収蔵している図書館」、ということもできます。
 資料としてのアーカイブは普通1つだけでなく複数(手紙の束とか、五線紙の束とか、蔵書の山とか)で一塊なので、複数形の「アーカイブズ」ということもあります。だいたい「アーカイブ」「アーカイブズ」という言葉が世間に言われ出したのはごく最近のことです。日本近代音楽館が設立された1987年当時は、この言葉は全く一般的ではありませんでした。
 日本近代音楽館の収蔵品を同館パンフレットから抜粋すると、(1)楽譜、図書、雑誌、録音資料などの出版物、(2)作曲家の自筆楽譜などの資料、評論家の蔵書、演奏家の活動記録等、(3)館外資料を収めたマイクロフィルム、(4)国内演奏会のプログラム、となります。これらはいわゆる図書館の枠組みを越えており、パンフレットでも「わが国の近代・現代音楽を対象とする唯一の専門資料館」と表現しています。