ニッポニカ・ビオラ弾きのブログ

芥川也寸志メモリアル オーケストラ・ニッポニカのビオラ弾きのブログです

小川昂編『日本の交響楽団定期演奏会記録』

 これまで何回も登場している本ですが、ある曲の日本での演奏歴を調べる時に欠かせないレファレンスブックですので、解題を書いてみました。

新編日本の交響楽団定期演奏会記録 : 1927-1981 / 小川昂編
 東京 : 民主音楽協会音楽資料館, 1983.10
 1208p ; 23cm
 ISBN: 4943886051C3573
 目次:

序…3
本書に収録したオーケストラ…4
例言…6

第1部 定期演奏会記録…11
第2部 作品<外国>と演奏記録…325
第3部 作品<日本>と演奏記録…641
第4部 指揮者と演奏記録…665
第5部 ソリスト, 合唱団と演奏記録…911
付録 海外オーケストラの日本公演記録…1075

 解題: 日本の職業オーケストラ22団体が、新交響楽団の第1回定期公演が行われた1927年から1981年までに、定期演奏会でとり上げた全曲目とその演奏実績(演奏年月日、会場、指揮者、共演者)を網羅した記録。1955年以降来日した全ての海外オーケストラの演奏実績も含む。第1部は団体ごとの演奏実績で、団体別に年月日順に定期演奏会回次、会場、指揮者、共演者、作曲者と曲名をリストアップ。第2部は外国人作品の曲ごとの演奏実績で、とりあげた外国人353人の作品1,673曲を作曲家のABC順に並べ、生没年、曲名、演奏時間を記し、その下に演奏実績を記述して曲ごとに日本での演奏歴を一覧にした。第3部は日本人97人の作品293曲の曲ごとの記録で、作品を作曲家のローマ字表記ABC順に並べ、生没年、曲名、演奏時間を記し、その下に演奏実績をリストアップした。第4部は319人に及ぶ指揮者ごとの演奏実績で、ABC順に指揮者名を並べ、その下に作曲家名と曲名を置き、曲ごとに演奏実績を記している。第5部は共演したソリスト1,388人と合唱団160団体ごとの演奏実績で、ABC順に並べたソリストと合唱団名の下に作曲者と曲名を置き、その下に演奏実績を記している。第5部は冒頭に「来日オーケストラ総覧」として年表と団体別および国別の記録を掲載。そして本文に当たる「来日オーケストラ」には、年ごとに来日団体名と演奏実績をまとめている。以上の記載事項はいずれも欧文と日本語表記双方からの検索の便が丁寧にはかられている。一つの作品の演奏記録を、作曲者、指揮者、演奏団体、共演者のいずれからも容易に検索できると同時に、日本のオーケストラ史を俯瞰するための情報が網羅されている優れたレファレンスブックである。
 本書は(財)民主音楽協会創立20周年記念出版として、NHK音楽資料部に長年勤務したライブラリアンの小川昂(おがわ・たかし、1912-2008)が編集したもの。小川昂編『日本の交響楽団定期公演記録 : 1927-1971』(カワイ楽譜, 1972)に続く10年間の演奏実績を加え、全編改稿し「新編」とした。なお続編として、『新編日本の交響楽団定期演奏会記録 : 1982-1991』(1992年)、『新編日本の交響楽団定期演奏会記録 追補 1992-2000』(2002年)が民音音楽資料館から刊行されている。追補の各データはそれぞれの期間を対象としているが、1992年版追補の付録「海外オーケストラの日本公演記録1955-1991」は、1955年からの記録を遡及してまとめた内容。