ニッポニカ・ビオラ弾きのブログ

芥川也寸志メモリアル オーケストラ・ニッポニカのビオラ弾きのブログです

『朗読者』から『オデュッセイア』へ

10年ほど前、ベルンハルト・シュリンク『朗読者』(新潮社、2000)を読もうと思ったのは、ドイツの現代小説だったからです。ゲーテやトーマス・マンは学生時代にたくさん読んだのですが、現代のものはほとんど読んでいませんでした。読み始めるとこれが「読み聞かせ」の話であることがわかり、一番最初に彼が彼女に読んだのは『オデュッセイア』でした。そして話はすぐ次に進んでしまうのですが、『オデュッセイア』といえばヨーロッパの古典中の古典、そんなにすぐに読み終わるはずはありません。といって私は読んだ事が無かったので、早速岩波文庫の上下2冊を買い込んで読んでみました。
この古代ギリシャの詩人ホメロス叙事詩はよく知られているとおり、トロイア戦争に勝った英雄が故郷へ帰還する物語です。前半は10年かけて帰り着くまでの波乱万丈の冒険譚、後半は留守を守る妻にいいよる男達を退けるストーリーです。トロイア戦争は10年続いたので、20年ぶりに再会した妻は、オデュッセイアが夫だということを確かめるためにクイズを出します。もちろんそれはクリアしてめでたく終わります。なお『オデュッセイア』と並ぶ叙事詩イリアス』は、トロイア戦争の最後の所を書いた物語です(私はまだ読んでいません)。(この項続く)