ニッポニカ・ビオラ弾きのブログ

芥川也寸志メモリアル オーケストラ・ニッポニカのビオラ弾きのブログです

ニジニ・ノヴゴロドの定期市

f:id:nipponica-vla3:20211226092729j:plain
ニジニ・ノヴゴロドの定期市(1850年代)

バラキレフ(1837-1910)の生まれたニジニ・ノヴゴロドは、ロシア西部を流れるヨーロッパ最長のヴォルガ川に、その支流オカ川が合流する地点にあり、ヴォルガ川最大の港があります。水運・陸運の要として商工業が栄え、19世紀初頭から開かれていた定期市が有名で、全国の商業、貿易の中心地となっていました。

当時ニジニ・ノヴゴロドの定期市は毎年7月15日から約2か月間に渡り開かれ、店舗数4000、商人などの関係者12万人、訪問者は延べ150万から200万人にも及んだそうです。19世紀末のニジニ・ノヴゴロドの人口は9万人なので、定期市の規模の大きさがわかります。

定期市は単に商業活動の場だけでなく、娯楽と解放の場でもありました。1930年に廃止されるまで、異民族、放浪者、芸人などが定住民と自由に交流する祝祭空間となっていたのです。

バラキレフはそうした街の中で育ちましたので、毎年2カ月間も繰り広げられる多民族の芸術そして音楽に、幾度となく触れたことでしょう。

■参考文献

  • ロシアを知る事典 平凡社 2004

(写真はウィキメディア・コモンズより)

関連エントリー