ニッポニカ・ビオラ弾きのブログ

芥川也寸志メモリアル オーケストラ・ニッポニカのビオラ弾きのブログです

タンスマン来日公演の内容

作曲家・ピアニストのアレクサンドル・タンスマン(1897-1986)は1933年3月に来日した際、3回の演奏会などで自作をピアノで演奏しています。そのプログラムは下記のとおりです。

■アレキサンダア・タンスマン演奏会 [1]

1933年3月19日(日)午後7時 仁壽講堂 主催:音樂同好会
賛助出演 提琴 林龍作氏

1. Piano solo
Suite dans la style ancien
2. Sonata for violin and piano
<Intermission>
3. Piano solos
 a) 6 mazurkas
b) 4 impromptus
c) Sonatine transatlantique
d) Largo and scherzo from the Symphony in A-minor  (ラルゴーとスケルツォ 交響曲イ短調より)

■アレキサンダア・タンスマン演奏会 [2]

1933年3月21日(火)午後7時 仁壽講堂 主催:音樂同好会
賛助出演 フリュウト 岡村雅雄氏

1. Sonata for piano no. 2
2. Sonatine for flute and piano
<Intermission>
3. Piano solo
 a) Arabesques
b) Tempo Americano
c) Intermezzi
d) 4 danses Polonaises

(以上、演奏会プログラムより抽出)

この2回の演奏会のプログラムは、同一の用紙に刷り込まれていました。箕作秋吉の演奏会評によると、アンコールとして第1夜には「4つのポーランド舞曲より ドゥムカ、ポルカ」が、第2夜には「マズルカ交響曲[第2番]イ短調よりスケルツォ」が演奏されたそうです。交響曲イ短調の一部がピアノ版で2回も演奏されたことになります。

会場の仁壽(じんじゅ)講堂は現在の東京都千代田区内幸町にあった、仁壽生命保険株式会社の講堂です。1930年代に音楽や舞踊などの公演に使われていたという記録があります。

■ラジオ放送

1933年3月24日午後8時 JOAKスタジオ(東京)から生放送
ピアノ独奏:アレキサンダー・タンスマン
管弦楽:新交響楽団
指揮:ニコライ・シフェルブラット

1. ピアノ協奏曲第2番 (1927)
2. 4つのポーランド舞曲 (1931 管弦楽版)

これは『朝日新聞』1933年3月24日の記事と、『タンスマンとギター』(現代ギター33巻12号、1999年12月臨時増刊、p34)からの抜粋です。この年の9月に新交響楽団N響の前身)は、シフェルブラット指揮でタンスマンの『交響曲イ短調』を日本初演しています。

■タンスマン告別演奏会

3月31日午後7時 日比谷公会堂 
1. ヴァイオリンとピアノのための幻想曲風ソナタ (1924) (Vnモギレフスキー)
2. ソナチネ・トランスアトランティック (1930) (Pf独奏)
3. 8つの日本の歌より6曲 (1918) (Sop荻野綾子)
4. アンドレ・スピラの詩による2つの歌 (1925) (Sop荻野綾子)
5. ヴァイオリンとピアノのための5つの小品 (1930) よりアリア、バッソ・オスティナート (Vnモギレフスキー)
6. ピアノ独奏5曲 (即興曲マズルカ)

これも前出『タンスマンとギター』からの抜粋です。『8つの日本の歌』は3月24日にSop荻野綾子、Pfタンスマンで録音が行われています。

参考