ニッポニカ・ビオラ弾きのブログ

芥川也寸志メモリアル オーケストラ・ニッポニカのビオラ弾きのブログです

タンスマン来日時のスケジュール

作曲家アレクサンドル・タンスマン(1897-1986)は1933年3月来日し、約2週間滞在しました。その時のスケジュールを調べてみました。(演奏会の詳細は別途掲載)

  • 3月17日午前7時 プレジデント・タフト号で横浜港着、10時 東京駅着、帝国ホテルへ
  • 3月18日午後 宮城道雄宅訪問、演奏を聴く
  • 3月19日午後7時 仁壽講堂 「タンスマン室内楽演奏会」(1)
  • 3月21日午後7時 仁壽講堂 「タンスマン室内楽演奏会」(2)
  • 3月22日 『8つの日本の歌』レコーディング (Sop荻野綾子) (日本ビクター HMV13290-B)
  • 3月24日午後8時 JOAKスタジオ(東京)から作品演奏を生放送

エピソード(演奏会以外)

  • 読売新聞の記事によると、タンスマンの作品を日本に紹介したのは「先年来朝したスペインの驚異的ギター奏者セゴヴィア」と、「宮内省音楽部の武井男(爵)が率いるオーケストラシンフォニカタケヰ」とのこと。
  • 3/18に訪問した宮城道雄宅では、タンスマンは琴と尺八による『六段』『春の海』などの演奏を聴き、楽譜を見て非常に感動したことが報じられている。「この曲はむしろ近代フランス音楽に近い。ほんとの日本音楽を聞くことが出来てこんなうれしい事はない。」
  • 朝日3/19には評論家牛山充氏の記事があり、タンスマンの略歴と作風を紹介している。そして「外見的にはラヴェルストラヴィンスキー等と一脈相通のものがあるが、それは期せざる一致で、その底にはショパンに源を有するポーランド精神が流れ、タンスマン独自のリリシズムが響いている」と結んでいる。
  • 日時は不明だが歌舞伎を鑑賞している。この時期の歌舞伎座の演目はこちら
  • この3月は3日に三陸地方大地震が発生、27日には日本が国際連盟から脱退、という月だった。

参考文献

  • 『読売新聞』1933年1月27日
  • 『東京朝日新聞』1933年3月13日、18日、19日、24日
  • 大脇礼三「来日したタンスマンと語る」(音楽世界 5巻4号)
  • 『タンスマンとギター』 (現代ギター 1999年12月臨時増刊)
  • 『戦前の作曲家たち:ドキュメンタリー新興作曲家連盟:1930-1940』国立音楽大学附属図書館, 1990