菅原明朗と永井荷風はオペラ『葛飾慕情』上演の頃、銀座の富士アイスでよく打ち合わせたそうです。富士アイスとは大正期にアイスクリームの製造販売から始まった会社で、銀座界隈にも喫茶やレストランを開業していました。菅原たちが打合せたのは、銀座4丁目教文館の地下の店でした。
荷風先生から「今日は夕食後に富士アイスの地下室へいらっしゃいますか、もしさしつかえなければ、御眼にかかっておねがいしたい事があるのですが」との電話。私はその頃銀座に事務所を持っていて、夕食後教文館の富士アイスの地下室が仲間の雑談の場所になっていたのです。先生の電話はその銀座の事務室へかかって来たのです。
（「その頃の荷風先生」『音楽之友』1946年12月より）（評論集p255）
写真は今夜の銀座4丁目、山野楽器とアップルストアの間にある教文館ビル。
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