ニッポニカ・ビオラ弾きのブログ

芥川也寸志メモリアル オーケストラ・ニッポニカのビオラ弾きのブログです

菅原明朗評論集『マエストロの肖像』

エストロの肖像 : 菅原明朗評論集 / 松下鈞編
 立川 : 国立音楽大学附属図書館, 1998.03
 iii, 611p ; 22cm
 解題: 作曲家菅原明朗(すがわら・めいろう、1897-1988)の、生誕100年記念事業のひとつとして刊行された評論集。菅原が生涯に各種雑誌等に執筆した随想、評論およそ569篇あまりの中から、菅原の全体像を彷彿させる83篇を選び、ほぼ年代順に配列したもの。楽曲分析、楽器編成法、編曲法等の極めて専門的なものは除外されている。編者は国立音楽大学附属図書館主任司書で、編者による菅原の50代までの活動の背景についての解説「菅原明朗とその時代(1)(2)」が付されている。巻末の「年譜」「作品目録」「著作目録」は、国立音楽大学附属図書館菅原明朗書誌作成グループによるもの。なお遠山一行、三善晃、海老沢敏各氏の協力による「菅原明朗生誕百年記念事業委員会」は、本書の刊行の他に3回の演奏会(1997年10月19日神戸、11月16日大阪、11月22日東京)を開催している。
 目次:
[口絵写真]
     若き日の菅原明朗
     第15回演奏会(1923年、指揮者は瀬戸口藤吉)
     オルケストラ・シンフォニカ・マンドリーニに初出演(1936年)
     OST創立15周年記念演奏会で指揮(1929年)
     音楽教師の指導者として活躍した頃の明朗
     ラジオドラマ「天草四郎」出演者とスタッフと(1980年)
     「明石海峡」自筆楽譜
     老年の指揮姿 / 撮影:塚本茉利子
     イタリアにて
     鎌倉の大宮真琴(義息)にて / 撮影:秋林哲也
     『楽器図鑑』(1954年、音楽之友社)と『楽器図説』
      (右上:1933年、文芸春秋社 下:1937年、清教社)
     武田人形座とともに
     死の直前まで愛用したオルガンと「絶筆」
     絶筆となった『聖ヨハネによる黙示録』のスケッチ
     創作に向かった愛用の机

はじめに …i
I 菅原明朗とその時代(1) / 松下鈞…3
  本年最初の公園奏楽 / 菅原明朗、堀内敬三 合評…17
  戸山学校の奏楽と日比谷の奏楽 / 堀内敬三、菅原明朗 合評…20
  海軍と三越の初演奏…22
  頭にうかぶまま…25
  管弦楽よりアレンジされたるマンドリン合奏楽に関して…29
  マンドリン合奏の楽器編成…33
  マンドリン合奏に表現困難なる音楽形式…42
  奈良からの話…47
  法起寺三重塔と薬師寺東塔との比較(手記)…50
  『軒訪るゝ秋雨』雑感…55
  重要な雑談…58
  私の作品と私の日常生活…64
  蓄音器の管弦楽…72
  管弦楽に於ける新傾向…77
  作曲家及指揮者として管弦楽の批評に対する希望…81
  蓄音器の思い出…83
  雑感…90
  此頃の私の心境…93
  ケーニッヒ老と私…96
  礼古尾土近頃風景…99
  私とO.S.T(オルケストラ・シンフォニカ・タケヰ)の十五年…105
  ワグナーで思い出す個人的な回想…109
  創造の過程に進め…114
  読後の感、聴後の感…117
  吹奏楽の思い出…122
  批評家に望む…126
  創作進展のために…130
  美術と音楽…134
  寧楽の旧都に残る古楽…138
  無題二章…141
  随筆三題…145
  同人雑誌の身辺記…155
  現代音楽の鑑賞に就て…159
II 菅原明朗とその時代(2)/ 松下鈞…165
  葛飾慕情前後…181
  ボレロ管弦楽…187
  池の端漫筆…191
  無縁坂閑話…196
  奉祝楽曲レコードを聴くの記…200
  日本和声否定論…204
  新日本音楽の限界:対談 / 宮城道雄、菅原明朗…206
  日本歌曲に就いて…236
  音楽における純粋性と大衆性…248
  オネッガーのこと…250
  和歌作曲の思い出…253
  その頃の荷風先生…255
  管弦楽のヴィルトーゾ…261
  ジャック・イベールの音楽:“寄港地”の作曲家…267
  絵画的な音楽…270
  映画『ハムレット』を見て…275
  音楽の形式美…281
  印象派の画と音楽…289
  音楽放談 作曲を教えた人々…294
  旋律…318
  コンチェルト・グロッソ:初演に至るまでの回想…321
  セザール・フランク…324
  聖譚楽 予言書 創作誌記…331
  大阪市音楽団と私…339
  歌劇『葛飾慕情』上演まで…343
  罹災日乗考…346
  仏像修理奇譚…349
  フィレンツェに失望した男もいる…354
  中世ローマの小聖堂…360
  現代も生きているローマ(サンタ・マリア・マジョーレ)…365
  イタリア最古の修道院(スビアーコ)…371
  石の町スポレート…376
  プッチーニの町ルッカ…381
  中世紀そのままの邑(サン・ジミニアーノ)…386
  ラヴェンナ文化の流れ…391
  もらいものの国宝…402
  仏風呂…405
  古寺古材のゆくえ…408

  太山寺の四天王と神像:学者のみおとした悲しき仏像…411
  新薬師寺物語…420
  東大寺二月堂の謎…423
  志賀直哉さんと加能鉄哉…436
  忘れられた蟹満寺の本尊…439
  東大寺よ強くなれ…442
  志賀直哉と「寧楽」…445
  不思議な印相の仏…451
  畿内における廃仏毀釈…454
  バロック音楽の時代と背景…460
  『ロンダニーニのピエタ』の欠損像が発見された?…467

菅原明朗年譜…473
著作目録 付・参考文献…(55)
作品目録…(1)
あとがき…607