ニッポニカ・ビオラ弾きのブログ

芥川也寸志メモリアル オーケストラ・ニッポニカのビオラ弾きのブログです

菅原明朗と荻野綾子(2)

 荻野(太田)綾子は2回目のパリ滞在から帰国後も、演奏会や放送で菅原明朗の曲を歌っています。N響ライブラリーから1935年のプログラムをご紹介します。

太田綾子独唱 日本歌曲新作演奏会
1935年6月3日(月)19:00 日本青年館
管弦楽 新交響楽団
プログラム
 清瀬保二:花が散りかかる (菅原明朗指揮)
 深井史郎:春幾春 (菅原明朗指揮)
 伊藤昇:海の祭礼 (菅原明朗指揮)
 菅原明朗:更衣パラフレーズ (菅原明朗指揮)
 服部正:春と夏 (服部正指揮)
 諸井三郎:2つの歌曲 作品10 (諸井三郎指揮)
 菅原明朗:2つの小品 (菅原明朗指揮)

出典:N響ホーム>N響ライブラリー>演奏会記録>1931年〜1940年
http://www.nhkso.or.jp/data/document/library/archive/kiroku1931_1940.pdf
 ここに登場する作曲家はみな新興作曲家連盟に参加していました。

  • 清瀬保二の『花が散りかかる』は城左門の詩です。
  • 深井史郎の『春幾春』も城左門の詩で、詳細はこちらをごらんください。深井は菅原に師事していました。
     深井史郎作曲『春幾春』と城左門
     http://d.hatena.ne.jp/nipponica-vla3/20110829/1314593658
  • 伊藤昇『海の祭礼』は館美保子詩で、「ジャズのリズム、例えばフォックス、トロットとかタンゴとかワルスの手法を高尚に伴奏として使用した珍しい試み」の作品でした(伊藤能矛留「私の作曲生活と作品」より)。
  • 菅原明朗『更衣パラフレーズ作品目録によると、1933年作曲の『更衣(催馬楽)』の改作で、室内楽と声の作品です。
  • 服部正も菅原明朗に師事した作曲家です。
  • 諸井三郎の作品は『ソプラノのための二つの歌曲』で、中原中也の詩による「妹よ」と「春と赤ン坊」です。ニッポニカでは2005年に演奏しました。
     昭和九年の交響曲シリーズ<その1>(演奏会プログラム)
     http://d.hatena.ne.jp/nipponica-vla3/20100818/
  • 菅原明朗『2つの小品』は作品目録によると管弦楽曲となっており、元は「典雅なる行進・勇壮なる行進」という吹奏楽でした。

■参考: