ニッポニカ・ビオラ弾きのブログ

芥川也寸志メモリアル オーケストラ・ニッポニカのビオラ弾きのブログです

矢代秋雄『オルフェオの死』から(6)交響曲その2

 矢代秋雄の遺稿集『オルフェオの死』第4部「対談」の中にも『交響曲』が出てきました。2楽章のリズムのところ。

新作曲家論 対談:富樫康 「シンフォニー=日本人の作品」
矢代:日本語からくるリズムでしょうな。それであのリズムは結構とりにくいわけよ。それで日フィルで初演した時、テンヤテンヤ、テンテンヤテンヤと、教えてやったわけです。それからN響でやった時もそれだね。はじめのうちはみんなリズムとれなくて、おこったりなんかして、大騒ぎしたんだけど、そのリズムを覚えちゃったら、なんでもないね。それにわりに調子のいいリズムだし、びっこな感じがしないのね。それから東フィルで二楽章と三楽章だけやったことがあるんだ。そのときに山田和男先生が、「テンヤワンヤ、それテンヤワンヤ」って数えさせたんです。(笑)
 そんなふうに言葉をつけてリズムを覚えると、うまくいく。ところが、この間それパリでやったら、大騒ぎやっちゃったのよ。
富樫:ああいうのは西洋人にはとれないね。
矢代:だめだ。テンヤテンヤ、テンテンヤテンヤっていってもどうしょうもない。だから「一二三、一二三、一二、一二三、一二三」て数えるから、リズム感がぜんぜん変わっちゃうんだな。(p372-373)