ニッポニカ・ビオラ弾きのブログ

芥川也寸志メモリアル オーケストラ・ニッポニカのビオラ弾きのブログです

信時潔とその系譜(演奏会プログラム)

 信時潔の演奏会に行きました。最初に実行委員長の大中恩氏と企画・構成の戸ノ下達也氏のプレトークがあり、神津善行氏も挨拶に立たれました。誠に丁寧に準備されたことがよくわかる演奏会で、信時潔とそれに連なる作曲家の作品を堪能することができました。『海道東征』しか知らなかったのですが、それは信時の一面に過ぎず、初めて聴く幅広い音楽に目を見張る思いでした。プログラム冊子も充実していたので、詳細を載せておきます。代表作の一つ『沙羅』が中ほどに掲載されていますが、本番では一番最後に歌われました。第I部も第II部も演奏者の曲に対する理解と愛情に溢れていました。

信時潔とその系譜:生誕125年
 洋楽文化史研究会, 2012.11.23
 65p ; 30cm
 注記: 演奏会プログラム ; 日時・会場: 2012年11月23日(金)16:30開演・津田ホール(東京) ; 助成: ロームミュージックファンデーション、 私的録音補償金管理協会 ; 後援: 東京芸術大学総合芸術アーカイブセンター ; 曲目: 企画・構成: 戸ノ下達也, 信時裕子
【第I部】器楽の系譜
 〈ピアノ〉信時潔 『きえゆく星影』(1909), 『木の葉集』(1935) / 花岡千春(Pf)
 〈ピアノ三重奏信時潔『かどでの朝』(1942) / ルツ・レスコヴィッツ(Vn), 唐津健(Vc), 寺嶋陸也(Pf)
  <弦楽三重奏>下總皖一 『ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロのための主題と変奏』 / ルツ・レスコヴィッツ(Vn), 松実健太(Va)、 唐津健(Vc)
【第II部】声の系譜 / 栗山文昭(指揮), コーロ・カロス(合唱), 寺嶋陸也(Pf), 中村眞理(演出・舞台監督),大鷲良一(創光房:照明)
〔留学そして帰国〕
 ゲオルク・シューマン 「Drei altdeutsche Lieder op. 63」より Beim Kindelwiegen "Joseph, lieber Joseph mein!"
 信時潔 「日本古謡より」『あかがり』(1920), 『銀の目抜の太刀を』(1927), 『大島節』(1926), 『子等を思ふ歌』(1932)
組曲の流れ〕
 信時潔「櫻花の歌」より『吹く風を』(1932), 「沙羅」より『沙羅』(1936)
〔戦争の時代〕
 信時潔海ゆかば』(1937),『國に誓ふ』(1938),『日本の母の歌』(1942),『かどでの朝』(1942)
〔信時楽派の系譜(1)〕
 下總皖一 『春の雪』『野菊』
 大中恩『わたりどり』
 長谷川良夫 「萬葉抄」より『I・曉と』
〔音楽教科書への関わり〕
 信時潔「新訂尋常小学唱歌」より『遠足』『動物園』(1932),「新訂高等小学唱歌」より『春の曲』(1935)
〔戦後のいとなみ〕
 信時潔〔われらの日本』(1947),『帰去来』(1948),「東北民謡集」より『おばこ節』(1959)
〔信時楽派の系譜(2)〕
大中恩「ピアノ伴奏による五つの歌」より『海の若者』
高田三郎「私の願い」より『雲雀にかわれ』


内容:
ご挨拶 / 大中恩(実行委員長)
メッセージ / ミヒャエル・ラウテンベルク(ゲオルク・シューマン協会会長)
信時潔とその系譜」で描きたいこと / 戸ノ下達也
信時潔楽派」:諸井三郎「日本の作曲1世紀の歩み 揺籃期の作曲界 明治-昭和初期」より
曲目解説 第I部器楽の系譜 / 信時裕子, 三枝まり
     第II部声の系譜 / 寺田卓矢, 戸ノ下達也他
出演者プロフィール
信時潔の生きた時代 / 戸ノ下達也
寄稿 父の思い出 / 熊谷はる
   信時先生と私 / 神津善行
   信時潔・讃 / 塚田佳男
   信時潔のピアノ作品:邂逅とその後 / 花岡千春
小論 山田耕筰信時潔、橋本國彦における言葉と音楽 / 三枝まり
   信時潔北原白秋カンタータ:『海道東征』(1940年)の歴史的意味 / 上田誠
   木下保と信時作品 / 増山歌子
   信時潔と「われらの日本」 / 河西秀哉
信時潔年譜・系譜図 / 信時裕子編
信時潔作品表 / 信時裕子編
信時潔作曲校歌・社歌・団体歌一覧 / 信時裕子編