ニッポニカ・ビオラ弾きのブログ

芥川也寸志メモリアル オーケストラ・ニッポニカのビオラ弾きのブログです

『山田一雄没後10年 : 山田和男 おほむたから』(参考文献:演奏会プログラム)

山田一雄(1912-1991)没後10周年の演奏会プログラム。メイン曲に新響が山田の指揮で最初に演奏したマーラー交響曲第5番』を選び、それと組み合わせる作品として1944年山田和男作曲『おほむたから』を後から選びました。『おほむたから(大みたから)』とは、作曲者によれば『古事記』にでてくる言葉で、「日本の壮大な歴史と伝説、そして美しい国土を愛する気持ちを注ぎ込んだ」(山田一雄『一音百態』音楽之友社、1992、p156)そうです。実際に練習を始めてみると、この曲がマーラー交響曲第5番』第1楽章を下敷きにしているものであることがわかりました。天台宗の「声明」も採り入れられており、マーラーの曲想に託して敗戦の前年に作曲者が表現しようとしたものに、深く感銘を受けたのを思い出しています。この曲は翌1945年元旦にJOAKにより放送初演されています。そののち満州に渡った山田は、4月に『寒帯林』の初演を行いました。
なおこのプログラムの巻末には、新交響楽団が山田指揮で全曲演奏したマーラー交響曲各曲からの抜粋を編集したCDが添付してあります。また上原誠編「山田一雄年譜」は、雑誌『音楽現代』1992年8月号から1993年7月号に上原が連載した年譜をまとめたものです。

◆書誌データ

山田一雄没後10年 : 山田和男 おほむたから : 新交響楽団第173回演奏会
 新交響楽団, 2001.4.28
 53p ; 26cm + 1 sound disc (CD)
 注記: 演奏会プログラム ; 日時・会場: 2001年4月28日(土)18:30開演・東京芸術劇場大ホール (東京・豊島区) ; 曲目: おほむたから(大みたから)(1944) / 山田和男. 交響曲第5番嬰ハ短調 (1902) / マーラー ; 出演: 飯守泰次郎(指揮), 新交響楽団(管弦楽) ; 主催: 新交響楽団 ; 『おほむたから』は「日本の交響作品シリーズ・5」
 内容: