『ヒロシマのオルフェ』には「ムチ」が使われています。「ムチ」といっても実際には写真のとおり、2枚の板を鳴らすものです。『打楽器事典』の記載は次のとおりです。
ムチ むちの音を模倣するための楽器。馬車に使う皮製の長いむちを空中で振れば、それ自体むちの音を発するが、楽譜に指定された時間にその音を鳴らすのは困難なため、板や皮などを用いて擬音用につくられたもの。板の場合は、2枚の板を打ち合わせてパチッという音をだすのであるが、ちょうつがいを用いたり、空気を抜くための溝をつけたりなどの工夫がほどこされている。（p300-301)
なおこの「ムチ」は、NHK大河ドラマ『赤穂浪士』のテーマ音楽（芥川也寸志作曲）で絶妙な効果を発揮しています。（『月』の楽器編成にも「ムチ」を載せたのですが、スコアを見直すとどうもみつかりません。何かの間違いかもしれません。）
