ニッポニカ・ビオラ弾きのブログ

芥川也寸志メモリアル オーケストラ・ニッポニカのビオラ弾きのブログです

ピッツェッティ『交響曲イ調』解説その2

 1940年の紀元二千六百年奉祝演奏会は録音され、SPレコードが発売されました。それをロームミュージックファンデーションは「SPレコード復刻CD集」として2002年にだしています。ピッツェッティの作品もそれにはいっており、片山杜秀さんの解説の冒頭をご紹介します。

ピツェッティ 交響曲 イ調(1940作曲)
 イルデブランド・ピツェッティ(1880-1968)はレスピーギ、マリピエロ、カゼッラと並ぶ近代イタリアの大家で、歌劇、合唱曲、管弦楽曲室内楽曲に多くの力作を遺した。その作風は古風で気品にあふれ、『交響曲 イ調』はその真髄を示している。ピツェッティは「音楽の基本はあくまで歌である」と主張し、器楽作品でも多くの場合、綿々と歌うように書くことが試みられ、この交響曲でもまさにそうである。曲は3管編成の管弦楽を用い、4楽章約45分ものあいだ、この作曲家ならではの教会風に依拠した古風な音の伽藍が丹念に築かれてゆく。祝典的というより瞑想的で敬虔で悲劇的な音楽である。イタリアの評論家、ガッティはこの曲を「ピツェッティのオーケストラ作品の中の最高の要素をすべて集約した傑作」としている。
出典:ロームミュージックファンデーションSPレコード復刻CD集「日本の洋楽1923〜1944」-杉浦雅太郎SPレコードコレクションより- 解説書 p50