ニッポニカ・ビオラ弾きのブログ

芥川也寸志メモリアル オーケストラ・ニッポニカのビオラ弾きのブログです

ワインガルトナー賞の決定(2)

  ワインガルトナー賞を受賞した19名の作曲家それぞれの経歴を見ると、受賞年として1937年、1938年、1939年と3種類があります。これは賞の募集に応募したのが1937年、途中で一度結果発表されたのが1938年、最終発表が1939年であったことが、『国際文化』の記事内容前半からわかりました。

 昭和12年[1937]の初夏、世界楽団の巨匠フェリックス・ワインガルトナー博士の来朝は、我々が始めて接した偉大な指揮者として未だ記憶に新しい処であるが、ワインガルトナー賞は、この来朝を機会に日本人現代作曲家の優秀作品を世界の楽団に紹介する目的をもって設定されたものである。当時日墺協会及本会[編註:国際文化振興会]は、共同のもとに一般に作曲を募集し、集まった81曲は早速維納[ウィーン]に居たワ氏に送られその審査は開始されたが、其後独墺合併の大政変あり、このため初期のワ博士の計画であった維納に於ける紹介演奏会は取止めになり、又ワ博士演奏会のための作曲選定は優秀なる作曲の選出と云うことに変更された。
 一時(昨年8月)ワ賞審査発表として新聞に公表されたが、これはワ博士の最初の計画に基いて演奏会用として大体選出し、通知して来たものが偶然発表されたもので、其後ワ博士はスイスのロザンヌに於いて第二の審査方針により引き続き審査され今回ワ賞は優等一等二等と三つに分けて左の如く決定された。
 審査に当たってワ氏は一つ一つノートをとり綿密に審査された由側近者より報告があった。
 尚本会では5月上旬、楽譜の返還を待って東京に於いて披露演奏会を催し、同時にその節ワ賞状及び国際文化振興会賞牌、三井高陽男爵賞(金百円)の授与式を行うことになった。


出典:国際文化振興会『国際文化』第3号(1939年3月)p24-25

 国際文化振興会は、戦前にあった国際文化交流事業のための機関で、「国際文化振興会(KBS)アーカイブ」が国際交流基金の図書館に設置されています。
コレクション 国際文化振興会(KBS)アーカイブ http://www.jpf.go.jp/j/about/jfic/lib/kbs.html

ワインガルトナー賞の決定(1)http://d.hatena.ne.jp/nipponica-vla3/20141003