ニッポニカ・ビオラ弾きのブログ

芥川也寸志メモリアル オーケストラ・ニッポニカのビオラ弾きのブログです

橋本國彦-深尾須磨子『笛吹き女』

 『笛吹き女』の歌詞は12章からなるので、パート譜に章の数字付きで歌い出しを書き込みました。曲はゆっくりしたところも軽快なテンポのところもいろいろあって、めくるめくような変化に富んだ作品です。第11章の後に複雑なオーケストレーションのクライマックスがくるのですが、3回目の演奏にして初めて細部までよく見えてきました。そして第12章がゆったりとその後に続きます。

りらのかほりを音(ね)にこめて
今宵まゐるは異國(ことくに)ぶりの牧歌調(まどりがる)に候
酔(ゑ)ひたまへ
異國ぶりの月もおかしきに

 冒頭の「りら」は、もちろん『リラの季節』のリラ、ライラックのことです。詩を書いた深尾須磨子はフランスで『リラの季節』を聴いたでしょうし、橋本國彦は荻野綾子の歌う『リラの季節』を聴いてこの『笛吹き女』を作曲したのでしょう。


『笛吹き女』現代語訳 http://d.hatena.ne.jp/nipponica-vla3/20131110/
ショーソン『リラの季節』演奏歴1927-1981 http://d.hatena.ne.jp/nipponica-vla3/20130830/
ショーソン『愛と海の詩』演奏歴1927-1981 http://d.hatena.ne.jp/nipponica-vla3/20130912/
荻野綾子独唱会プログラム http://d.hatena.ne.jp/nipponica-vla3/20131106/