ニッポニカ・ビオラ弾きのブログ

芥川也寸志メモリアル オーケストラ・ニッポニカのビオラ弾きのブログです

ロビンソン著『ストコフスキー』

 ストコフスキーの来日公演を調べようと借りたもう一冊の本。残念ながら探していた記述はありませんでしたが、返す前に一通り目を通したところ、ヘンリー・カウエルとドーソンには言及がありました。

 ストコフスキーはその新音楽への関心から、全米交響楽団と、数篇の現代作品を演奏し、レコーディングした。そのひとつに、アメリカの作曲家ヘンリー・カウエルの「われわれの田舎の物語」と題する組曲がある。ストコフスキーはこの作曲家を世に出すため、つねに戦っていた。このレコーディングは、作曲者自身がピアノを担当している点が呼び物になっている。(p77)

 トスカニーニは現代音楽に関心を示しませんでしたが、

反対にストコフスキーは現代作曲家による作品の初演を絶えず行なう一方、膨大でつねに変わるレパートリーをもっていて、同一作品の繰り返しを避けている。ストコフスキーは、その一生のいかなる時期でも、パイオニアであり、新しい音楽の唱道者だった。(中略)演奏会に通う人たちにとっては、三流指揮者の手にかかると失敗すると思われる曲を紹介する、新音楽の擁護者である。(p94)

 巻末のディスコグラフィーには、カウエルの作品が二つ載っています。

カウエル(ヘンリー)
・《われわれの田舎の物語》
  カウエル(Pf)、全米交響楽団 米C-X235(1941年7月)(SP)
・《ペルシャン・セット》
  ストコフスキー交響楽団 米CRI-114(1952年10月)(M)

 ドーソンの曲について、「だれにもなじみのない曲だったという点で、いかにもストコフスキーらしいレパートリーだった(p114)」とあり、ドーソンの略歴が記載されていました。ディスコグラフィーは次のとおり。作曲家別のディスコグラフィーは50ページもあり、ストコフスキーが60年間にわたって録音したほぼ全レコードとのことです。

ドーソン(ウィリアム)
・《ニグロ・フォーク交響曲
  アメリ交響楽団 Dec‐SDL 15040(1963)(S)

ストコフスキー : 音の魔術師 / ポール・ロビンソン著 ; 横山一雄訳
音楽之友社, 1978.5
174, 50p ; 20cm
内容:
まえがき
はじめに…9
第1章 フィラデルフィアへの前奏曲…16
第2章 フィラデルフィア物語…26
第3章 フィラデルフィアからハリウッドへ…60
第4章 ニューヨーク再訪…86
第5章 ニューヨークからヒューストンへ…100
第6章 ストコフスキーの解釈:1800年より以前の作品…124
第7章 ストコフスキーの解釈:ベートーヴェン…133
第8章 ストコフスキーの解釈:ブラームス…146
第9章 ストコフスキーの解釈:その他の作曲家…152
第10章 まとめ…166
訳者あとがき…170
ストコフスキーディスコグラフィー…巻末


NDLデータ
借りた図書館:大田区立大田図書館