ニッポニカ・ビオラ弾きのブログ

芥川也寸志メモリアル オーケストラ・ニッポニカのビオラ弾きのブログです

大澤壽人「神風協奏曲」

 先日から読み始めた林望『かくもみごとな日本人』(光文社、2009)の中に、飯沼正明の名前があってびっくり。飯沼は朝日新聞社の取材用飛行機「神風号」のパイロットとして、1937年に東京-ロンドン間の国産機による最速飛行記録を打ち立てたのでした。彼の著書『航空随想』を読んだリンボウ先生が、飯沼の「常に平常心を保ち得る強靭な精神力」を讃えた文章を書いてらっしゃいます。
 この『航空随想』は2008年の奏楽堂演奏会の前に私も古本屋から入手して読んだ覚えがあり、同じように飯沼パイロットの精神力に感嘆しました。ロンドンの空港に着いた時、長時間飛行で疲れた姿でなく、きちんとしたスーツ姿で大観衆の前に降り立ったということにも感じ入りました。いっしょに乗っていた塚越賢爾機関士の謙虚な人柄も気持ちよく、この2人の快挙が当時の日本で大いに喧伝されたことが想像されます。大澤壽人のピアノコンチェルトのほかにもいろいろな曲が作られたそうです。