原曲は1933年作曲の「ピアノ組曲」で、1991年にサントリー音楽財団の委嘱で管弦楽のために編曲されたものです。さらに1998年絃楽オーケストラのために編曲されたものがあります。ニッポニカでは絃楽版を2004年に演奏しています。
◆書誌データ
新交響楽団第144回演奏会
新交響楽団, 1994.7.23
[16]p ; 26cm
注記: 演奏会プログラム ; 日時・会場: 1994年7月23日(土)18:30開演・東京文化会館(東京・台東区) ; 曲目:
管弦楽のための「日本組曲」(1991) / 伊福部昭 《伊福部昭傘寿記念4》
第1楽章 盆踊
第2楽章 七夕
第3楽章 演伶(ながし)
第4楽章 佞武多(ねぶた)
交響曲第2番ハ短調「復活」 / マーラー
出演: 小林研一郎(指揮), 大倉由紀枝(Sop), 伊原直子(Alt), 武蔵野合唱団(合唱), 新交響楽団(管弦楽) ; 主催: 新交響楽団 ; 協賛: ヤマハ(株)電子楽器東京分室
内容: 伊福部昭:管弦楽のための「日本組曲」 / 上原誠 ; 芥川也寸志先生のこと / 小林研一郎 ; 出演者名簿他
(前略)
この組曲は伊福部が中学入学の年の夏、友人に招かれて青森県の大鰐温泉に滞在した際に初めて見た“ねぶた”から受けた啓示に基づいて作曲された。ねぶたは今でこそ東北四大祭のひとつとして観光の目玉になっているが、本来は収穫の秋を控え睡魔を追払う「眠り流し」の行事と、盆入りの禊(みそぎ)とが合わさったもの。伊福部は大地に根ざし逞しく生きる民衆が、心をひとつにして先祖と自然に対する感謝と畏敬の気持ちを力一杯表わす様子に圧倒され、同時に深い共感を覚えた。
「七夕」もまた盆入りの禊に中国の星祭“乞巧奠(きこうでん)”が合わさったものだが、「演伶(ながし)」については趣がやや異なる。「ながし」といえば思い浮かべる新内ではなく、祭の賑わいに集まった大道芸人、たとえば「角兵衛獅子」あたりだろうか。全曲を通し単なるノスタルジックな想いを越え、私たちの心の奥底に潜むメロディーを呼び覚ましてくれる。(上原誠)