サントリーホールへ芥川作曲賞(今年から芥川也寸志サントリー作曲賞)の選考演奏会を聴きに行きました。87曲の候補作から選ばれた3曲とのことですが、どの曲もなかなか力作で楽しめました。また管弦楽作品の枠組みに演劇的要素や自動演奏メディアの導入など、新しい要素がどんどん加わりつつあるのもよくわかりました。入賞した稲盛さんの作品は、後半から終わるところがヴィオラジョークで、思わず苦笑い。初演がドイツ、エッセン州の「ツォルフェライン炭坑業遺産群塩倉庫」というのは、実に興味深かったです。どんなところか見てみたいです。最後の北爪さんの作品では、舞台の中央に設えられた自動ピアノの鍵盤が、人間では絶対できない音楽を波打つように演奏する様子を、あっけにとられて眺めました。
第29回芥川也寸志サントリー作曲賞選考演奏会
2019年8月31日(土) 15:00開演 サントリーホール大ホール
第29回 芥川也寸志サントリー作曲賞選考演奏会
- 鈴木治行(1962~ ):『回転羅針儀』室内管弦楽のための(2018)
初演=2018年4月15日 京都コンサートホール 小ホール 京都フィルハーモニー室内合奏団第213回定期公演 指揮:齋藤一郎、京都フィルハーモニー室内合奏団
- 稲森安太己(1978~ ):『擦れ違いから断絶』大アンサンブルのための(2018)
初演=2018年11月3日 ツォルフェライン炭坑業遺産群塩倉庫、エッセン市(ドイツ) NOW! 現代音楽祭「旅」コンサート 指揮:ピーター・ヴィール、ストゥディオ・ムジークファブリーク
- 北爪裕道(1987~ ):自動演奏ピアノ、2人の打楽器奏者、アンサンブルと電子音響のための協奏曲 (2018)※2
初演=2018年10月5日 パリ国立高等音楽院サル・レミー・フリムラン パリ国立高等音楽院作曲科修了演奏会 指揮:ピエール=アンドレ・ヴァラド、打楽器:ミンユ・ウェン、ティボー・ルプリ、パリ音楽院桂冠管弦楽団
- 候補作品演奏の後、公開選考会(司会:伊東信宏)
選考委員(50音順):斉木由美、坂東祐大、南 聡【出演】
指揮:杉山洋一
チェロ:山澤 慧※1
打楽器:菅原 淳、石田湧次※2 エレクトロニクス:有馬純寿※2
管弦楽:新日本フィルハーモニー交響楽団
協力:(一社)日本作曲家協議会/(一社)日本音楽著作権協会/日本現代音楽協会