島岡譲年譜「その3」は、還暦までに執筆、出版した数々の音楽教科書についてです。
1958(昭和33)年:11月、『和声の原理と実習』(音楽之友社)完成。自己の途が音楽理論と音楽教育にあることを自覚する。
島岡は引き続き1959年に『フーガの実習』を、1962年には『和声と楽式のアナリーゼ』を執筆しました。
1963(昭和38)年:7月、池内先生より芸大の和声授業用テキストの執筆を要請され、その準備として和声原理の本格的研究に着手。非和声音の検討中に『構成音転位』のアイデアを得る。
1964(昭和39)年:『和声 理論と実習 I』(池内友次郎他と共著)、『和声と楽式のアナリーゼ』(いずれも音楽之友社)刊行。上記和声テキストをめぐり、『音楽芸術』誌上で別宮貞雄氏との論戦始まる。
その後島岡が還暦までに出版したのは、次の通りです。
- 『和声 理論と実習 II』(音楽之友社、1965)
- 『和声 理論と実習 III』(1966)
- 『和声 理論と実習 別巻』(1967)
- 国立音大での実験授業用テキスト
『音楽 理論と実習 Ia』『同 Ib』(国立音大ソルフェージュ・理論委員会)(1968) - 『音楽 理論と実習 II』(1969)
- 『音楽 理論と実習 III』(1971):楽曲の和声的側面を「力性プロセス」(和音場のゆれ)として捉える理論を完成。
- 『音楽 理論と実習 IV』(1975):古典派の楽曲構造を「分割プロセス」と「循環プロセス」という二つの基本的な楽式累計型概念で、またバロックの楽曲構造を「テーマ的構成」・「モチーフ的構成」・「フィギュア的構成」という三つの素材的構成概念で説明する理論を完成。
- 『音楽の理論と実習 I』(音楽之友社、1982)
- 『音楽の理論と実習 II』(1983)
- 『音楽の理論と実習 III』(1984)
- 『音楽の理論と実習 別巻I』『『同 別巻II』(1985)
1986(昭和61)年:還暦の年。3月、付属音高を定年退職。5月、国立音大の教え子たちによる還暦祝賀会。10月、『将来計画委員会中間答申書』を完成、教授会に提出。11月、『音楽の理論と実習 別巻III上』刊行。
1987(昭和62)年:3月、『将来計画委員会最終答申書』を完成、教授会に提出して委員会解散。9月、信仰文集『山を仰いで』(主婦の友社)刊行。10月、『音楽の理論と実習 別巻III下』刊行予定。(昭和62年5月11日記)
出典:島岡譲『山を仰いで』(主婦の友出版サービスセンター制作、1987年)
■追記:還暦以降に出版されたもの
- 『総合和声 実技・分析・原理』(音楽之友社、1998)
- 『総合和声 実技・分析・原理 別巻 課題の実施』(同、2001)
- 『和声のしくみ・楽曲のしくみ』(同、2006)