ニッポニカ・ビオラ弾きのブログ

芥川也寸志メモリアル オーケストラ・ニッポニカのビオラ弾きのブログです

三善晃『遠方から無へ』から(3)小中高校時代

 就学前に自由学園の子供ピアノグループに通っていた三善晃(1933-2013)は、1939年(昭和14)地元の杉並区立第五小学校に入学しました。その母校で音楽の授業をするというNHKの「シリーズ 授業」の録画を、先週の練習前にみることができました(1987年6月23日放送の、「作曲家三善晃の“歌う・心とからだのメッセージ”」という内容)。三善はこの小学校時代、平井康三郎に作曲とヴァイオリンを師事したそうです。そして1945年に都立高等学校へ進学。この学校は当初尋常科4年、高等科3年の課程でしたが、終戦後の学制改革を経て1949年東京都立大学附属高等学校に改組され、現在は都立桜修館中等教育学校となっています。三善はこの学校時代、「おぼろに作曲家を幻想して」いました。

ジンセイの話
 中学は旧制の七年制高校の尋常科というもので、それがそのまま新制高校になったから、六年間を同じ学校で過ごしたことになる。その、中学時代はともかく、高校になってからの数学は、お話にならない、ひどい成績だった。(中略)
 もっとも、小学六年生で集団疎開した半年間は、勉学意欲とみに減退して、代数どころではなかった。東京のオヤジが心配して、教科書すべての問題を解いて送ってくれる。今の教育パパみたいなものだが、なにしろこっちはビタミンB不足でやる気がなく、それを引き写しにノートするさえ面倒だった。
 それでも中学へはいれたのは、この年、戦争末期で、中学の入学試験がなかったためで、この学校は、いわゆる名門校の一つだった。だから、東京へ帰ってビタミンBをおおいに摂取すると、ガッツイた。一年前期二番、後期一番で、以後三年までクラス総代をつとめた。(p184-185)

出典:三善晃著『遠方から無へ』(白水社、1979)

NHK番組公開ライブラリー 番組リスト 2015年3月版(PDF)http://www.nhk.or.jp/archives/arrival/list.pdf

東京都立桜修館中等教育学校 沿革 http://www.oshukanchuto-e.metro.tokyo.jp/cms/html/entry/29/3.html