ニッポニカ・ビオラ弾きのブログ

芥川也寸志メモリアル オーケストラ・ニッポニカのビオラ弾きのブログです

伊福部昭とチェレプニンは何語で会話したか

 1936年7月伊福部昭はチェレプニンに1ヶ月近く作曲のレッスンを受けましたが、いったい何語で会話していたのかずっと不思議に思っていました。伊福部は北海道帝国大学を卒業していますので、英語とドイツ語はできたでしょう。一方チェレプニンはロシア人で、フランス語はできたでしょう。しかしこの二人の会話は、通訳なしでも通じたのでしょうか???と思っていたところ、伊福部にインタビューした木部与巴仁さんの本に次のようにありました。

 レッスンをしていると、時々チェレプニン夫人のルイジーヌが現われた。「ちょっと失礼するよ。」チェレプニンはこういって、フランス語でルイジーヌと会話した。伊福部に対しては、英語、ドイツ語、フランス、イタリア語、ロシア語をとり混ぜて使った。
出典:木部与巴仁伊福部昭・音楽家の誕生』(ボイジャー、2002)p179

 なるほど、二人ともなかなかの語学使いだったようです。この木部さんの本の第10章は「チェレプニン」というタイトルで、20ページに渡って二人の交流が記されていました。時に伊福部22歳、チェレプニン37歳。