ニッポニカ・ビオラ弾きのブログ

芥川也寸志メモリアル オーケストラ・ニッポニカのビオラ弾きのブログです

三浦淳史「チェレプニンの近況」(その1)

 伊福部昭を音楽の道に引き入れた友人である三浦淳史が、戦後1950年に米国にいたチェレプニンから受け取った手紙について書いた記事があります。その中からチェレプニンの人柄や日本人作曲家との関わりについての部分を抜粋します。

氏は教師としても実に立派な人で、その率直で真摯な人柄は自己の豊富な知識と体験を惜しみなく生徒に与えるのである。大家然と勿体ぶることは氏の最も苦手とするところであり、薀蓄を出し惜しむなど氏の夢想だにしないところであろう。

 チェ氏は日本を去ってからも邦人作品の紹介に尽力しており、氏自身が演奏したり或いはその斡旋によってパリで演奏された作品の中好評を博したものには次の曲がある。荻原利次の「祭典舞曲」と「フリュートソナタ」、伊福部昭「盆踊り」、小船幸次郎「絃楽四重奏曲」と「インヴェンション」、早坂文雄ノクターン」、箕作秋吉「ラプソディー」、清瀬保二「立の春[丘の春]」、松平頼則「フリュートソナタ」及び「歌曲集」、近衛秀麿「越天楽」。以上の他今北京にいるという江文也の作品があり、これらの曲はパリで何回も演奏され又放送もされたという。チェ氏は今も尚日本の作曲家に対する変わらない友情を懐いており、「チェレプニン・エディション」を復活したい意向である。

出典:三浦淳史「チェレプニンの近況」(『フィルハーモニー』22巻8号 1950年9月)p33-34


チェレプニン・コレクション一覧 http://d.hatena.ne.jp/nipponica-vla3/20140216/1392514974