ニッポニカ・ビオラ弾きのブログ

芥川也寸志メモリアル オーケストラ・ニッポニカのビオラ弾きのブログです

カンタータ『大いなる故郷石巻』

 小杉太一郎作曲、石島恒夫作詩のカンタータ『大いなる故郷石巻』のCDを聴きました。曲は4楽章からなり、第1楽章「日高見」は郷土のすばらしさをたたえたもの、第2楽章「たたら火」は江戸時代の鋳銭場での悲哀物語、第3楽章「雄図」は400年前に仙台藩からヨーロッパへ渡った支倉常長の物語、第4楽章「祝祭」は石巻の発展を祝う市民の歌、という構成です。この曲は石巻市制40周年を記念して1973年に作曲され、同年11月4日石巻市民会館で初演されました。出演は小林研一郎(指揮)、東京交響楽団石巻合唱連盟、伊藤京子(ソプラノ)、友竹正則バリトン)、山内明(朗読)です。初演のマスターテープからCD化されたもので、初演の熱気がふつふつと伝わってきました。
 作曲の小杉太一郎(1927-1976)は伊福部昭門下で、骨太で雄大な音楽が力強く響き渡りました。初演から10年ごとに石巻で再演されているそうです。日本人の管弦楽作品はたくさん演奏してきましたが、東京以外の都市でこのような音楽活動が根付いていたことは恥ずかしながら知りませんでした。
 手元のCDは東日本大震災の復興支援としてSalidaから出されました。企画/制作にあたったSalidaの出口寛泰さんはいつもニッポニカの演奏を聴いてくださっています。前回10月30日の演奏会場ではこのカンタータのCDを販売されました。その後11月30日の日本経済新聞朝刊文化欄に、「「石巻賛歌」の初演復刻」という出口さんとこのCDの記事が載りました。また雑誌『新潮45』1月号には「幻の“石巻カンタータ”復活」と題した出口さんのインタビュー記事が掲載されています(写真、p306-307)。それを読んだら「Salida」(サリーダ)というのはスペイン語で「出口」の意味で、名付け親は作曲家の故・池野成(いけの・せい、1931-2004)氏とのこと。なるほどと納得するとともに、伊福部昭、池野成、そして小杉太一郎という作曲家とその作品に対する出口さんの愛情と心意気に改めて感動した次第です。
 このCDは下記のウェブサイトから注文することができます。

東日本大震災復興支援企画 
CD「小杉太一郎 カンタータ大いなる故郷石巻 
http://ifukube-official.kifu.officelive.com/charity_cd.aspx
伊福部昭公式ホームページ〕