ニッポニカ・ビオラ弾きのブログ

芥川也寸志メモリアル オーケストラ・ニッポニカのビオラ弾きのブログです

山田和男の青春:『若者のうたへる歌』

 山田一雄『一音百態』の「オーケストラのための曲を次々に発表」の章には、1937〜39年(昭和12〜14)に作曲した『日本の俗謡による前奏曲』『若者のうたえる歌』『交響的木曾』がいろいろな賞を受け演奏されたとありました。

 それにしても、この次に受賞した『若者のうたえる歌』は、オーケストラ曲としては、曲名自体が異様といえる。しかし、その時点のわたしの「充実した大きな日記」という思いで書いたために、それを実現するには、このタイトル以外に考えられなかった。
 「青春」というのは、明るく感じられたり、暗く感じられたりする。曲にはそうした青春の「光と影」といったものを織り込み、まさにその真っただ中にいるわたしの若く荒々しくたぎる血潮や情熱、メッセージを凝縮した作品だった。そして、わたしはこの曲がぞっこん気に入り、あのあと十年くらいの間は、自作のすべての曲に、このタイトルを付けたいと思い続けたほどであった。(p107)

 写真はp95に掲載のもので、キャプションには「東京音楽学校に入学した頃自宅で。著者が入学した年から、制服は詰襟から背広に変わった。(昭和6年)」とありました。