ニッポニカ・ビオラ弾きのブログ

芥川也寸志メモリアル オーケストラ・ニッポニカのビオラ弾きのブログです

舘野泉ピアノ・リサイタル2010続き

■一曲目は、『風のしるし・オッフェルトリウム』。間宮芳生(まみや・みちお、1929-)さんの作品はニッポニカ第14回演奏会で演奏したのですが、それは1955年の作曲でした。今回作曲者と演奏者の見事な共同作業をまのあたりにし、耳で聴く事ができ、客席にお元気そうな作曲者の姿も見る事が出来ました。
■二曲目は、『四重奏曲「アイヌ断章」』。末吉保雄(すえよし・やすお、1937-)さんは舘野さんの同級生。そして第1楽章「銀の滴降る降るまはりに…」はニッポニカ第8回演奏会でやった伊藤昇『シロカニペ ランラン ピシカン』と同じ素材でした。歌ははいりませんが、作曲者自身の指揮でフルート・コントラバス・打楽器とピアノがアイヌの世界を深く優しく描いていました。
■三曲目は『記憶樹』。作曲のcobaさんのことは何も知らなかったのですが、世界的に活躍しているアーティストだそうです。サイトも充実していました http://www.coba-net.com/index.html。左手ピアノ・ソロの曲ですが、鍵盤を縦横に使い、曲想がホールを越えて広がっていくようでした。
■四曲目は『優しき玩具たち』。吉松隆(よしまつ・たかし、1953)さんのこの作品は「おもちゃ箱」を開けてつぎつぎに玩具が飛び足してくるような、という曲だそうで、実際演奏者もそれを実に楽しそうに奏していました。左手ピアノ・クラリネット・トランペット・ヴァイオリン・チェロという不思議な組み合わせがまた楽しかったです。クラリネットの浜中浩一さんとトランペットの北村源三さんは舘野さんの同級生。ヴァイオリンは息子のヤンネさん、チェロは弟の舘野英司さん。
2〜4曲目の3曲は「舘野泉左手の文庫」助成作品とのことで、これからもたくさんの人たちに弾きつがれていくことと思います。