ニッポニカ・ビオラ弾きのブログ

芥川也寸志メモリアル オーケストラ・ニッポニカのビオラ弾きのブログです

立原道造

 2週間ほど前に本郷あたりを歩いていたら立原道造記念館というのがあり、思わずはいって詩集を一冊買ってきました。安藤元雄編『立原道造詩集』(芸林書房、2002)というその本を今日初めてひもといたところ、「旅人の夜の歌」という詩が飛び込んできました。
 そのタイトルからはゲーテの詩『旅びとの夜の歌』が想起されます。詩の内容も孤独な青年の彷徨を描いています。大学でリルケやシュトルムなどを愛読したとのことですので、それらの詩人の雰囲気がよくでている作品です。この作品をはじめ立原の詩は多くの独唱・合唱曲となっているようです。青空文庫には立原道造の作品がいくつかはいっていましたが、この「旅人の夜の歌」はまだでした。
 本の解説によると、東京生まれの立原道造(たちはら・みちぞう、1914-1939)は旧制第一高等学校から東京帝国大学工学部建築科を卒業し、建築家としても将来を嘱望されていました。中学から短歌をこころみ、一高在学中に詩に転じて、大学では堀辰雄主宰の同人「四季」に加わりました。1914年生まれといえば、伊福部昭そして早坂文雄が同じです。伊福部昭は1937年に『土俗的三連画』を、早坂文雄は『古代の舞曲』を作曲しています。立原道造はその2年後の1939年に肺結核で夭折しました。享年24歳8ヶ月でした。