ニッポニカ・ビオラ弾きのブログ

芥川也寸志メモリアル オーケストラ・ニッポニカのビオラ弾きのブログです

伊福部昭とHeterophony

 伊福部昭アイヌ族の音楽」には、次のくだりもありました。()内はブログ子の註。

 彼らの音楽は、吾々の伝統音楽と同様に、仮令(たとえ)多人数で唄う場合でも和音の意識は無いらしい。従って彼らの音楽がHomophonyではないことは殆ど確実である。又、Sarorun Rimse(アイヌ音楽の一つ)其の他の場合に歌の声部の他にKororo……等言う風な半音階に近い下降の別の動きが用いられるが、此等は鳥の鳴き声の模倣であって、多声音楽の萌芽と見ることは出来ない。従って彼等の音楽は雑多は唄声が混じり合う場合もあるがPolyphonyでも無い。即ち彼等の音楽は他のアジアの民族と同様にHeterophonyなのである。
出典:『伊福部昭綴る:伊福部昭論文・随筆集』ワイズ出版、2013 p106(初出は『音楽芸術』1959年12月号)

 Heterophonyって、調性や和声の整ったいわゆる西洋音楽の伝統とは別物だというのはわかります。タプカーラのエネルギーの秘密のある部分がそこにも宿っているのでしょう。世界全体で見たらきっとそういう音楽の方が多いのでしょうか。

2014-03-15の練習日記、あるいは伊福部昭の「アイヌ族の音楽」http://d.hatena.ne.jp/nipponica-vla3/20140316/1394945039