ニッポニカ・ビオラ弾きのブログ

芥川也寸志メモリアル オーケストラ・ニッポニカのビオラ弾きのブログです

「伊福部昭 室内楽作品を集めて」を聴きました

 伊福部先生の歌曲を中心とした演奏会、最後の3曲だけでしたが聴くことができました。

伊福部昭 室内楽作品を集めて
http://d.hatena.ne.jp/nipponica-vla3/20130204/1359946183

 先生86歳の作品である『蒼鷺』、32歳の時の『アイヌ叙事詩に依る対話体牧歌』、そして34歳の『オホーツクの海』。どれも瑞々しさに溢れていました。『対話体牧歌』のソプラノは2004年の演奏と同じく弓田真理子。アイヌ語の歌詞ですが、前より一段と歌いこまれてすばらしいステージでした。プログラム前半に歌われた『ギリヤーク族の古き吟誦歌』も、聴いた人によるととてもすばらしかったそうです。
 写真のプログラム冊子には、1958年1月の『音楽芸術』誌に掲載された、「作曲家訪問」と題する丹羽正明執筆の記事が3ページに渡って再録されていました。尾山台のご自宅でお話しされている壮年期の伊福部先生の様子が再現されていました。
 『アイヌ叙事詩に依る対話体牧歌』は3曲からなるので、曲名を記載しておきます。作曲者の言葉によると「この作品は、云わば、失われた古謡への追憶である。ここに用いた詞は、知里真志保採録になる伝承詩である。和訳も同氏によるが、曲はすべてアイヌ語に基いた」。プログラム裏表紙には、この曲の自筆譜が掲載されていました。

アイヌ叙事詩に依る対話体牧歌 知里真志保
(1) shine onne ekashi kor shinotcha
    或る古老の唄った歌
(2) yaishama ne na
   北の海に死ぬ鳥の歌
(3) ku-taxkara kusu
   阿姑子(あこし)と山姥(やまんば)の踊り歌

 知里真志保は、「シロカニペ ランラン ピシカン」を書いた知里幸恵の弟です。

知里幸恵 銀のしずく記念館
http://d.hatena.ne.jp/nipponica-vla3/20100817/1282053665