ニッポニカ・ビオラ弾きのブログ

芥川也寸志メモリアル オーケストラ・ニッポニカのビオラ弾きのブログです

山田一雄『一音百態』「学祭の芝居ストップ」

 東京音楽学校に入学した年の秋の記念祭に、新劇の脚本を書いて舞台にのせました。中学のころから演劇に興味を持ち、新劇のメッカの築地小劇場にも足しげく通ったものでした。

 こうした影響もあって、そのころのわたしの恋愛論を投影させて、『それは男性特有の、余りにも放漫な唯心論的錯覚だ』と題する脚本を書いてみたのだ。素材は、シンプルな男女の恋愛を扱ったもので、当時は唯物論が学生の間で流行していたから、それに対抗して、唯心論的展開を試みたのである。
『一音百態』p87-88より)

 いっぱしの演出家気取りでしたが、古い体質の学校からストップがかかってしまいました。その年の冬、音楽家としての自覚も新たに、社会史的観点からの『モーツァルトのピアノ・ソナタ研究』という論文を学友会の雑誌に載せました。