ゲーテの作った詩には多くの作曲家が曲を作っています。『旅びとの夜の歌』は30代の作品ですが、東洋への憧れから生まれた70代の作品『西東詩集』(West-oestlicher Divan)も忘れられません。いわゆる「西風の歌」の冒頭を掲げておきます。ズライカはこれを歌っている女性の名前です。
Suleika
Ach, um deine feuchten Schwingen,
West, wie sehr ich dich beneide:
Denn du kannst ihm Kunde bringen,
Was ich in der Trennung leide!
ズライカ
ああ、おまえの湿った翼を、
西風よ、私はお前の翼をなんと羨やむことか。
お前はあの方に知らせを届けることができる、
私がどんなにこの別離に苦しんでいるかという!
シューベルトが作曲したこの曲を、1970年代に来日したシュワルツコップの独唱で聴いた覚えがあります。(原詩の出典はレクラム文庫ですが、訳詩はみつからなかったので拙訳です。)