ニッポニカ・ビオラ弾きのブログ

芥川也寸志メモリアル オーケストラ・ニッポニカのビオラ弾きのブログです

大江健三郎の『水死』をめぐって

本日(1/9)の日本経済新聞文化欄に、大江健三郎の新刊『水死』をめぐるインタビュー記事が載っていました。リードをそのまま引用すると、「夏目漱石が『こころ』で明治の精神を描いたように、父親の死や息子、女性たちを描きながら、生きてきた昭和の精神を深くとらえ直している。」とのことです。そして著者の「僕も昭和の精神にとらわれている。昭和の精神は、天皇を神とあがめた昭和前期の精神と、戦後の民主主義の精神の二重性を帯びている。僕は父を昭和前期の精神に殉じて死んでいった人間として考えたい。」という言葉を引き出しています。
大江健三郎の作品は”難解”というイメージがありましたが、少なくとも私の読んだ初期の短編は読みやすいものでした。彼の作品は時代とともに読み継がれ、多くの読者を得ています。昨年末(12/27)同じく日経新聞ロシア文学亀山郁夫が、この『水死』の発売を心待ちにしていたというコラム記事があり、「文芸春秋」最新号(2月号)では筒井康隆テレビ東京系「世界を変える100人の日本人!」で大江の小説を語るグラビアがありました。
これら同時代の人々の中に、芥川也寸志も当然含まれます。芥川30代、大江20代の創造のエネルギーのぶつかりあいである『ヒロシマのオルフェ』。さて今日の練習では何が起こるでしょうか。