ニッポニカ・ビオラ弾きのブログ

芥川也寸志メモリアル オーケストラ・ニッポニカのビオラ弾きのブログです

矢代秋雄『オルフェオの死』から(2)ドビュッシー

 矢代秋雄(1929-1976)の遺稿集『オルフェオの死』(深夜叢書社、1977)の「『ペレアスとメリザンド』に見る典型」では、世紀末芸術について語られいます。

 こうしてみると、ドゥビュッシーこそは、世紀末芸術のチャンピオンという感じがしてくる。そして遂にメーテルリンクによる歌劇『ペレアスとメリザンド』によって音楽に於ける世紀末様式が確立されるのである。(中略)「印象派風」という、わかったような、わからないような名称でよばれているドゥビュッシーのハーモニーの語法は、調性則に基づく機能和声が、調性則と機能とを失ったが、まだ和音の形態を残している、という状態であった。それは溶けかかったドロップが重なり合ったような、まことに世紀末的な色合なのであった。(p39)

 矢代の語る「19世紀末」には、オスカー・ワイルドギュスターヴ・モローボードレールスクリアビン、リチャルト・シュトラウスなどの芸術家たちの名前がずらずらとでてきます。矢代がパリに留学していたのは1951年から1956年、26歳から31歳にかけてでした。

矢代秋雄『オルフェオの死』から(1)