ニッポニカ・ビオラ弾きのブログ

芥川也寸志メモリアル オーケストラ・ニッポニカのビオラ弾きのブログです

石井眞木『祇王』

 作曲者による解説。4つの部分からなる曲の物語。

1.冒頭は、「平家物語」の全体を象徴するような音楽ではじまり、龍笛独奏によるカデンツァ風な祇王の音楽が続き、後半は、この物語全体を暗示する音楽。


2.篠笛による「白拍子(しらびょうし)」[注:平安末期から鎌倉時代にかけて流行った歌舞。またこれを歌い舞う遊女]風な音楽。ここでは、篠笛のほかに、雅楽に伝わる「今様」が、笛奏者によって歌われる。そして、若く美しい白拍子祇王が、清盛の寵愛を一身にうけ、幸福の絶頂にいたるまでが描かれる。篠笛と声による今様の旋律は、オーケストラと協奏しながら、高潮し、3.に移行していく。


3.清盛の横暴で残酷な仕打ちに、祇王が打ちのめされる場面の音楽が全オーケストラで強奏され、幸福の絶頂から絶望のどん底へ転落し、苦悩する祇王を能管が表す。


4.そして、次第しだいに、祇王は汚れた現生を去り、仏の世界を欣求(ごんぐ)する。

出典:CD『石井眞木作品集 I』(Fontec FOCD-3110)楽曲解説より