ニッポニカ・ビオラ弾きのブログ

芥川也寸志メモリアル オーケストラ・ニッポニカのビオラ弾きのブログです

2011-07-30の練習日記、あるいはクェゼリン島

 山田和男作品の練習は『呪縛』から。もう何回かやっているので、イメージがよくわかってきました。1楽章のC「街の女どものうた」はフルートで始まるインド風(?)のメロディーが木管から弦楽器に引き継がれて行きます。曲想が変わってストラヴィンスキー春の祭典』が顔を出したりしました。3楽章「罪僧の舞」は、タイトルの割にはゆったりと平和な音楽でした。パート譜とスコアの相違をあちこち確認しながら練習しました。
 『おほむたから』は10年ぶりの演奏でした。マーラーの『交響曲5番第1楽章』のイメージが染み付いていたのですが、改めて演奏してみると雅楽をたっぷりとりいれた音楽であることが再認識されました。10年前に演奏したときはスコアしかなかったので、当時某メンバーが作成したパート譜を今回も使います。表情記号は日本語で書かれているのですが、明らかにマーラーのドイツ語を翻訳したと考えられるものが多々あります。練習番号24(写真)「この“不知不職の間に”(しらずしらずのあいだに)っていうのはドイツ語の“unmerklich”ですね」と柴山先生。
 スコアの最後には「昭和十九年二月五日東京、阿佐ヶ谷ニテ 敵クウェゼリン嶋に上陸の報をきゝ乍ら」と書かれています。柴山先生が「クウェゼリン嶋ってどこでしょうね」とおっしゃったので、家に帰って調べてみたら、ハワイ沖の島でした※。1944年1月30日から戦闘があったとのこと。「クウェゼリン」の綴りは“Kwajalein”で、「クェゼリン」とも書くようです。そこでアジア歴史資料センターのデータベースを「クェゼリン島」で検索したところ、当時の様子を伝える『写真週報』が1件ヒットしました。その報道によると戦闘は1944年2月6日に終わったそうです。
アジア歴史資料センター http://www.jacar.go.jp/
 アジア歴史資料センターの開設は2001年11月30日なので、10年前に『おほむたから』を演奏した4月28日にはまだこのデータベースは公開されていなかったことに気づきました。

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※クェゼリン島はハワイ沖ではなくマーシャル諸島にありました。詳細はこちら