ニッポニカ・ビオラ弾きのブログ

芥川也寸志メモリアル オーケストラ・ニッポニカのビオラ弾きのブログです

2011-04-09の練習日記

 ソリストの奥田雅楽之一(うたのいち)さんが筝を携えていらっしゃり、作曲者唯是震一先生の同席のもと、『カプリチオ』を練習しました。最初に指揮の阿部真也先生が次のエピソードを紹介されました。

 ニッポニカと演奏会プログラムの打ち合わせを最初にした時、「阿部先生はご存知無いかもしれませんが、唯是震一さんの筝の協奏曲をやりたいと思っています」というお話がありました。「ちょっと待ってください、唯是先生とは私は演奏旅行でサンフランシスコにご一緒したし、そのときも同行した孫の雅楽之一さんは私の大親友です」と答えました。雅楽之一さんとはいっしょにウィーンの辺りを演奏旅行して、私がヴァイオリンを弾いて『春の海』を演奏したりしました。唯是先生の曲をいつかやりたいね、と話しておりましたので、こんなに早くその機会がめぐってきて大変嬉しいです。

 そしてソリストと指揮者のぴったり息の合った練習が進みました。途中で唯是先生からいくつかコメントをいただくこともできました。白髪の先生はとてもお元気そうで、この曲を作曲された時の経緯をお話くださいました。

 留学していた時にコンクールのようなものがあり、先生から一曲書くようにいわれました。小品を作って送ったところ、たくさんの候補曲の中から最終の四曲のうちに選ばれ、演奏されました。なかなか評判がよかったのです。

 作曲を勧めた先生とは、ヘンリー・カウエル先生のことでしょうか。曲は日本の伝統音楽のペンタトニック(五音音階)の音形がちりばめられていて、何種類もの打楽器(ティンパニ、テューブラーベル、銅鑼、小太鼓、チェレスタ)がそれを彩っています。写真はスコアのチェレスタと筝の部分。筝は普通は漢数字が縦に書かれた楽譜を使うので、五線譜に書かれた曲を演奏するときは頭の切り替えが大変、と雅楽之一さんがおっしゃっておりました。