ニッポニカ・ビオラ弾きのブログ

芥川也寸志メモリアル オーケストラ・ニッポニカのビオラ弾きのブログです

ストコフスキーの1965年来日公演(その2)

 ストコフスキーの来日公演については、草刈津三『私のオーケストラ史』(デュオ・ジャパン、2004)に詳細が載っていました。著者の草刈津三(くさかり・しんぞう、1926-2004)は、指揮者渡邉暁雄とともに日本フィルハーモニー交響楽団の創設に関わりその黄金期を築いた、と紹介文にありました。この本では「レオポルド・ストコフスキー、ただ一度の来日」という章で、来日に至る経緯、来日中のエピソードなどが記されています。

 ストコフスキー招聘の経緯については、60年、日本フィル音楽監督渡邉暁雄が、渡米したときにさかのぼる。このとき渡邉は、ヒューストン響の常任をしていたストコフスキーのTV番組にゲスト出演を依頼され、ストコフスキーと対談をしたことがあった。これをきっかけに、渡邉は、日本フィルへの客演招聘を申し入れたのである。(中略)
 この件に関する日本フィルの代理人として、在ニューヨークの奥田恵二がケアするからと、彼の電話と住所を伝え紹介した。奥田恵二は、英語が堪能で、日本フィル事務局で海外関係の仕事をしていたが、どうしてもアメリカで勉強がしたくて退職し、単身渡米して、現地採用でニューヨークの日本領事館に勤務していたのである。

 この奥田恵二氏によるケアは万全だったそうです。そして奥田氏は後に、『「アメリカ音楽」の誕生』を執筆したのでした。
・奥田恵二『「アメリカ音楽」の誕生』目次一覧
http://d.hatena.ne.jp/nipponica-vla3/20110323/1300880272