2010-06-23 大木惇夫『緑地ありや』第3章 作詩家 ある日恵子から大木は写真掛けを贈られますが、そこには忘れな草(Forget me not)の青い花が刺繍されていました。英語のレッスンは中止となり、恵子は親の意向で結婚してアメリカへ行くことになったことを告げます。そして「きっと帰ってくるから」と言い残してアメリカへ発ちます。大木は失恋の傷みをゲーテの『ウェルテル』になぞらえたり、国木田独歩やツルゲーネフを読んだりします。 ひとり来て、 砂に涙のしむ音を 浜ひるがほにも聞かれけり。 ― 浜ひるがほ