池内友次郎『交響的二楽章』再演の演奏会
池内友次郎『交響的二楽章』はNHK委嘱作品で、1951年11月4日に放送初演されています。その後の演奏歴は不明ですが、2007年に東京藝術大学で再演された記録があります。当日配布のプログラム冊子の概要は次の通りです。
創造の杜'07 藝大現代音楽の夕べ
The museum of creativity
東京藝術大学創立120周年企画2007年4月19日(木)19:00開演(18:30開場)
会場:東京藝術大学奏楽堂(大学構内)
主催:東京藝術大学演奏藝術センター・東京藝術大学音楽学部
Program
- 澁谷由香:オーケストラル・ディプティック(初演)
- 北條美香代:春のあをさに‐ソプラノとオーケストラのための(初演)
- 池内友次郎:交響的二楽章(1951)
I. Lent-Animé
II. Lent-Très lent- 野田暉行:カーナバル(1989)
この他に、曲目解説(執筆は各作曲者、池内作品は清水一徹)及び各作曲者の写真と、池内友次郎略年表(清水一徹記)が掲載されています。曲名には英文表記が添えられており、池内作品の英文タイトルは、"Symphony of 2 movements"となっています。
池内友次郎が語る島岡譲
CD「池内友次郎の音楽とその流派」(NKCD6570/2)のライナーノーツに、池内友次郎と門馬直美の対談が載っています。その中から池内が島岡について語っている部分を抜粋しました。(1969年の対談)
池内:島岡譲という人がいます。矢代君などよりも先輩ですが、この人は私のところで一種の開眼をして、それから一人でいろいろ研究され、その後パリのコンセルヴァトワールでギャロン兄弟に師事して、現在は後進を指導しています。島岡君は、コンセルヴァトワールの和声法とフューグを完全に身につけた人です。しかも、それを土台にしてなお深く研究され、現在はその面では日本で最高の存在です。島岡君を中心にして、芸大の一般学生のための和声の教科書を作りました。これはすばらしいものです。私がそれの完成のためにある程度の協力をしました。いま功績ということを言いましたが、この著作による授業体系を芸大に植えつけたこと、この本は今後いろいろ改良されてゆくでしょうが、ともかく和声授業を軌道に乗せたこと、このことは、私の一つの功績と言えるかもしれません。島岡君のような人が、これからどんどん出てくることを切望しています。変な自称作曲家は必要ありません。(p14)
■参考
- CD「池内友次郎の音楽とその流派」
http://d.hatena.ne.jp/nipponica-vla3/20180603/1527989449」 - 島岡譲『和声:理論と実習』
http://d.hatena.ne.jp/nipponica-vla3/20180524/1527152063
CD「池内友次郎の音楽とその流派」
1969年に録音され当時LPレコードで出た「池内友次郎の音楽とその流派」が、2001年にキングレコードからCDで再発売されました。それを2011年にタワーレコードが再々発売した3枚組CDが手元にあります。池内友次郎と彼に連なる10人の作曲家、小倉朗、貴島清彦、別宮貞雄、宍戸睦郎、松村禎三、黛敏郎、間宮芳生、矢代秋雄、三善晃、野田暉行、の作品が収録されています。50ページにわたるライナーノーツ付。
池内友次郎の音楽とその流派 = Tomojiro Ikenouchi et son ecole
東京 : King Records, 2001, p1969
コンパクトディスク3 : ディジタル, ステレオ ; 12 cm. + 付属資料1(50p)
録音: 1969年7−8月; アナログ録音
King: KICC-354〜KICC-356
内容:
- 池内友次郎:ソプラノと管弦楽のための三つの小品 謡曲「熊野」より / 瀬山詠子(ソプラノ) ; 日本フィルハーモニー交響楽団 ; 山田一雄(指揮)
- 池内友次郎:ソナティナ 第3番 チェロのためのソナチネ / 平井丈一郎(チェロ) ; 三浦みどり(ピアノ)
- 小倉朗:ヴァイオリンとピアノのためのソナチネ / 小林武史(ヴァイオリン) ; 辛島輝治(ピアノ)
- 貴島清彦:ヴァイオリンとピアノのためのソナタ / 田中千香士(ヴァイオリン) ; 近江康夫(ピアノ)
- 別宮貞雄:フルートとピアノのためのソナタ / 野口龍(フルート) ; 徳丸聡子(ピアノ)
- 宍戸睦郎:フルート, オーボエ, クラリネットとファゴットのための四重奏曲 / テーネ木管四重奏団
- 松村禎三:クリプトガム / 日本フィルハーモニー室内楽団 ; 新谷俊治(指揮)
- 黛敏郎:10楽器のための喜遊曲 / 植村泰一(フルート) ; 鈴木清三(オーボエ) ; 内村洋(クラリネット) ; 戸沢宗雄(ファゴット) ; 千葉馨(ホルン) ; 北村源三(トランペット) ; 伊藤清(トロンボーン) ; 林ようこ(ヴァイオリン) ; 中博昭(コントラバス) ; 伊達純(ピアノ)
- 間宮芳生:弦楽四重奏曲 第1番 / 田中千香士弦楽四重奏団
- 矢代秋雄:ピアノ・ソナタ / 木村かをり(ピアノ)
- 三善晃:ソプラノとピアノのための組曲「聖三陵玻璃」 / 山村暮鳥作詞 ; 大蔵坦子(ソプラノ) ; 木村潤二(ピアノ)
- 野田暉行:ヴァイオリン, ホルン, ピアノのための三重奏曲 / 田中千香士(ヴァイオリン) ; 千葉馨(ホルン) ; 本荘玲子(ピアノ)
■付属資料の内容(いずれも執筆は1969年)
池内友次郎の音楽とその流派
- 監修にあたって / 門馬直美…5
- 池内友次郎氏近影…8
- 対談・池内友次郎=門馬直美…9
- 作品解説 / 金子篤夫…18