ニッポニカ・ビオラ弾きのブログ

芥川也寸志メモリアル オーケストラ・ニッポニカのビオラ弾きのブログです

『ぷれりゅうど』(著作:図書)

この本は表紙と裏表紙を、安野光雅描く「ベートーヴェン風の芥川也寸志」が飾っています。

◆書誌データ

ぷれりゅうど / 芥川也寸志
 筑摩書房 1990.09.20
 231p ; 20cm
 注記: 装幀・装画・本文カット: 安野光雅
 内容: I ぷれりゅうど. 尺八とピアノ, 蛙や水や鐘の音, 明治に思う, サミットで思うこと, 敗者を讃えよう, 国楽のすすめ, 曲名, アマチュア讃歌, なまずの髭, アクタとワについて, Do Re Mi, われら農耕民族, 河童, 奏楽堂再建を祝う, ほどほど, 二つの欲について, 音痴, 耳の話, 小さくて大きなもの, 静けさについて, なぜ高いの?, わが兄・比呂志と多加志, 壁, 名演, 第九の季節, 明るい日. II 自伝抄. 歌の旅. III 音楽の遊園地. 動物受難, 女体説, 音楽療法, アガル, 映画音楽, 国歌のお話, 燕尾服, 映画音楽のこと, 眼と耳. 也寸志さんの想い出 / 岸田衿子

【一行解説】

没後に刊行されたエッセイ集。初出は、I ぷれりゅうど(「毎日新聞」1987.7.4〜12.26)、II 自伝抄(初出「読売新聞」1977.2月〜3月、再録『自伝抄II』『音楽の旅』、III 音楽の遊園地(『音楽の遊園地』『音楽の旅』)。岸田衿子「也寸志さんの想い出」は1990年8月4日北軽井沢での談話。

【図書館等の所蔵データ】

国立国会図書館 / NACSIS-Webcat / WorldCat / Amazon.co.jp

大江健三郎の初期の作品

ヒロシマのオルフェ』は最初『暗い鏡』というタイトルで上演されましたが、そのテキストの第一稿のタイトルは『青年のオルフェ』でした。1959年前後の大江作品のタイトルには、「青年」が多く登場します。『青年の汚名』『報復する青年』『後退青年研究所』『孤独な青年の休暇』。またタイトルに登場しなくても、小説の主人公の多くは「青年」です。当時大江は23〜24歳でした。
小説の舞台の多くは、大学の構内、病院、倉庫、バスの中、谷間の山村、といった、いわば閉ざされた空間です。それが1958年7月に芥川賞を受賞して以降、舞台が大きく広がり、登場人物も多彩になっていきます。全ての作品を読んでいるわけではありませんが、そうした印象を強く持ちました。その広がりの中に芥川也寸志を髣髴とさせる人物も登場しています。