『日本洋楽外史』第5章「昭和時代」の3は、外来演奏家たちについてです。
■日本洋楽外史 : 日本楽壇長老による体験的洋楽の歴史 / 野村光一,中島健蔵,三善清達(ラジオ技術社,1978)
第5章 昭和時代
III 初期の外来演奏家たち
エルマン・トーンをめぐって …225
芸術家フリッツ・クライスラー …228
フランスのエスプリ、ジャック・ティボー …230
師弟だったティボーとチャップリン …233
二人の亡命チェリストたち …236
シャリアピンとワインガルトナー …238
求人外人教師と求職外人教師 …242
パウル・ショルツの功罪 …245
ドイツの新風レオニード・コハンスキー …247
(閑話休題)スクリアビンについて …249
シロタとワインガルテン …251
マキシム・シャピロ …253
レオニード・クロイツァー …255
アレキサンダー・モギレフスキー …257
小野アンナ、ローゼンシュトックなど …262
野村「ストロークが日本へ連れてきたヴァイオリニストというのは、クライスラーを除いたほとんどがロシアのアウアー系統なんだ。エルマン、ジンバリスト、ハイフェッツ、みんなそうだよ。それが戦争や革命でアメリカへいっちまって、そして日本へ来た。フランス系統のヴァイオリンは縁がなかったところへティボーが来たんだね。そうしたらティボーの音は全然違う、柔らかく透き通っていて。」(p230)
野村「テンポとリズムの作り方が全然違うんだよ。ティボーやコルトーなんかがなめらかでそして危ない橋を渡るような弾き崩しをやる。それがガッチリ主義のドイツやロシア流と違って、音楽の妙味を我々に感じさせてくれるんだ。」(p231)