神戸大出身の浅野亮介さん率いるオーケストラ アンサンブル・フリーEASTを聴いてきました。若き作曲家・薮田翔一さんの2作品が実に聴きごたえありました。組曲『風神雷神』は俵屋宗達の画を題材にした曲で、ソロピアノと打楽器が活躍し音の絵巻を奏でました。最後に登場した天女のソプラノは、A音のヴォカリーズのみですが、圧倒的な存在感で豊かな世界を描いていました。休憩後にはヴィブラフォンのコンチェルトを2曲。ソロ楽器として聴くのは初めてでしたが、こちらもソリストは何種類ものバチを見事に使い分け、楽器の特性を十二分に表現してくださいました。作曲家の今後が楽しみです。
最後のラフマニノフはソロ楽器が片付いて指揮の浅野さんがよく見えました。曲の隅々まで十分に研究し尽くした棒さばきで、個性豊かなオーケストラをぐいぐい先導していくのは、いつものことながら小気味よかったです。ニッポニカだけでなく新しい試みに挑戦する若いオーケストラが育っているのはとても嬉しいです。そしてオーケストラという楽器が前世紀の遺物ではなく、限りない可能性に満ちた装置であるのを再確認したことでした。
オーケストラ アンサンブル・フリーEAST第9回演奏会「盤上の舞」
2018年3月10日(土)14時 杉並公会堂指揮:浅野亮介
曲目:ソプラノ:ドルニオク綾乃
ピアノ:上水樽 力
休憩
- 薮田翔一:≪Gush≫ 〜Concerto for Vibraphone and Orchestra〜
I.(関東初演)
II. (世界初演)
ビブラフォン独奏:會田瑞樹
- ラフマニノフ:交響的舞曲
アンコールは下記の通り。
- 三木稔作曲/會田瑞樹編曲:芽生え〜筝 譚詩集 第二集より
ビブラフォン独奏:會田瑞樹
- 藪田翔一作曲:『百人一首』より
『忍ぶれど色に出にけり我が恋は物や思ふと人の問ふまで』平兼盛
『君がため惜しからざりし命さへ長くもかなと思ひけるかな』藤原義孝<
ソプラノ:ドルニオク綾乃
- オーケストラ アンサンブル・フリーEAST
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