中学生だった1942年頃からサティに親しんでいた秋山邦晴(1929-1996)が、長年にわたり書き綴ってきたサティに関する文章や蒐集資料をまとめたもの。「1」は雑誌掲載のサティ論5本の再録と、サティの生涯をたどって書き下ろした「エリック・サティ、人と作品」。「2」はサティの散文、詩、戯曲の翻訳。戯曲「メドゥーサの罠」は初出。「3」は秋山が1977年から付けていた「サティ日記」の抜粋と、サティ関連資料のコラージュ。秋山は1977年の訪仏で、サティの住居と墓のあるアルクイユと、出生地オンフルールを訪問している。「4」はサティの作品をジャンル別に解説したもの(初出)。作品に関連するテキストの翻訳、譜例、作曲時のエピソード等をふんだんに添えている。巻末に詳細な年譜、参考文献、作品表、索引付。初版は1990年、新装版が2005年に出され、本書はその新版。高橋アキによる「新版へのあとがき」には、2011年のオンフルール訪問で、サティ研究家ヴォルタの著作に秋山の「サティ日記」の引用を発見した顛末が記されている。
エリック・サティ覚え書 -- 新版 / 秋山邦晴
東京 : 青土社, 2016
502, 54, xvi, 6p ; 22cm
初版1990年, 新装版2005年の新版
目次:「1」
- サティにおけるユーモアの弁証法:その言葉と音楽の見えない方程式 …9
- 音楽のなかの言葉:サティの隠された方程式への解読試考 …33
- 右と左に見たもの(眼鏡なしで)の思想:またはダダのなかのサティとブルトン …75
- 音響測定家サティと光測写師マン・レイの出会い …121
- エリック・サティと坂口安吾 …135
- エリック・サティ、人と作品 …149
Esoterik Satie …154
『芸術のメトロポリタン教会』司祭兼教会付聖歌隊指揮者に任命さる …161
ヴェルヴェット・ジェントルマン …164
教会とキャバレーのなかで同じようにアットホームな気持だった …165
梨の形をした思考 …174
四十歳の手習いフーガ …180
若い音楽家たちの華麗なる敬意 …187
ユーモア、ことばと音楽 …190
時代の先駆性 …193
家具の音楽の思想 …202
音楽と日常性 …203「2」
- 『健忘症患者の回想録』 …209
- サティ詩抄 …221
- メドゥーサの罠 …235
「3」
- サティ日記抄 …259
- SATIRICOLLAGES(サティリコラージュ) …317